前回、PMの横糸(プロジェクトマネジメントにおいて考えるべき要素)として基本の4本(品質、コスト、タイム、スコープ)を紹介しましたが、今回はその続きとして残り5本の横糸を考えてみましょう。

人にまつわるエトセトラ、「人的資源とコミュニケーション」

 うーん、いきなり教科書チックな言葉で難しい感じがしてしまいますが、要は、プロジェクト活動に関わる人のこと、さらにその関係者間の情報のやり取りを考えておかないと仕事がうまく行きませんよね!と言うことです。

 人的資源の視点から具体的に行うことは、主に活動に必要なメンバーを集め、適材適所を考えて仕事を割り振ることであったりするのですが、実際にはこれがなかなか簡単にはハマりません。多くの場合、高い能力を持ったメンバーを潤沢にそろえた「ドリームチーム」を結成することは困難であり、「Aさんはこの期間しか手が空いていない」、「Bさんはまだ新人で実力が分からない」など様々な制約の中で最適な組み合わせを考える一種のパズル、しかも、どうやっても最後までは完成しないパズルに取り組むことになります。従って、プロジェクトマネジメントではパズルの攻略とあわせて、不足してしまう部分をどう調整・カバーするかについても考えなければなりません。

 また、コミュニケーションの視点からは、主に仕事の関係者間での情報伝達の仕組み、つまり伝達ルートやタイミング、方法などを考えます。「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)」の言葉があるようにコミュニケーションはどんな仕事でも基本であり、その重要性については今更説明の必要はないでしょう。しかし、新たなチャレンジ要素を持った活動であるプロジェクトにおいては、目標の達成に向けた仕事の進み具合や、活動上の課題と言った情報を、高い精度でタイムリーに収集・共有しておく必要があり、通常にも増してしっかりと情報流通の仕組みを考えておくべきです。そのため、9本の横糸の1つとしてコミュニケーションのマネジメントが挙げられているのです。