前回までで、代表的なソーシャルメディアの運用・管理ツールについて、特徴的な機能を中心に見てきた。今回は、これらの使って具体的にどのようにマーケティングに役立てるのか、その使いこなし方を解説しよう。

インフルエンサーリストの作成に利用する

 前回の記事で、インフルエンサーについて触れた。今回は、ツールを使って自社にとってのインフルエンサーリストを作成する方法を説明する。

 ソーシャルメディア上における情報の伝播の仕方を、図1のように整理できる。情報発信力を持ったインフルエンサーに分類される顧客は、「有識者、キュレーター」、「既存顧客、潜在的なファン」、「オンラインメディア(ニュースサイト、ポータルサイトといったメディア)」と、大きく3つのカテゴリーに分類できるだろう。

図1●ソーシャルメディア上における情報の伝播の仕方<br>情報を拡散するキーマンとなるインフルエンサーは大きく3種類に分けられる。
図1●ソーシャルメディア上における情報の伝播の仕方
情報を拡散するキーマンとなるインフルエンサーは大きく3種類に分けられる。
[画像のクリックで拡大表示]

 レストラン業界で具体的に見てみよう。まず、有識者とキュレーターは食や外食産業に関して高い知識をもっていて、かつソーシャルメディア上で積極的に情報を発信している。テレビ番組のレポーターのように日本中の外食・料理を食べながらソーシャルメディアを活用している人たちで、知る人ぞ知る通の情報の持ち主だ。2番目の既存顧客や潜在的なファンは、一般的な生活でソーシャルメディア上の情報収集や発信に長けている人たちを指す。最後のオンラインメディアは、食べログ、クックパット、ニュースサイト、Q&AサイトのようなWebサイトが挙げられる。

 顧客と日々対話しながらファン数やリーチ数の増減を監視していると、こうしたインフルエンサーと言えるソーシャルメディアユーザーと出会う。インフルエンサーかどうかの定義は、そのブランドが持つ考え方、運用するソーシャルメディアマーケティングの方針により変わる。一般的には、1.そのブランドにとって関連性が高い、2.そのブランドが属するカテゴリーに影響力がある、3.そのブランドに好意的である、4.フォロアー数やファン数が多い--といった観点で判断していくことになるだろう。

 そうして、インフルエンサーと判断した人たちをリスト化していく。ステイクホルダーのリストと考えると、従来のPR活動で活用されるメディアリストに近いものができるはずだ。PRでは長年、マスメディアの情報提供の優先順位、情報の提供先のメンテナンスとしてリストを作成・管理してきた。3~6カ月単位でリストを更新し、最新のものにアップデートする。ブランドにとって新しいニュースや、会話の話題のなるようなコンテンツが出来上がったら、これらのリストを見ながら、どのように情報を提供していけば、もっとも効果的にステイクホルダーとコミュニケーションできるか計画するのだ。

 今回取り上げているソーシャルメディアアカウント管理ツールは、このようなインフルエンサーの発見や精査に非常に役立つ。また、モニタリングツールのBoom Researchでは、インフルエンサーを独自の計算式に基づき、数値化、リストを自動的に出してくれる。ツールで得られるこのような情報を基に、運用者の日々の知見や、実際のビジネス上のブランドの課題などと照らし合わせて、更新していくことを勧めたい。