天津柏鋭○科技(BRAV:○は「三」を「|」で縦に突きさした字)は、中国のコンサルティング会社。ブイキューブと協業し同社の中国支社の役割も果たしている。ブイキューブのWeb会議ソフト「V-CUBE」をシネックスに紹介したのもBRAVだという。同社の陳創始人&主席執行長に日本製ソフトの中国における将来性などを聞いた。

(聞き手は宗像 誠之=日経コンピュータ



写真1●BRAVの陳志剛創始人&主席執行長
写真1●BRAVの陳志剛創始人&主席執行長

BRAVはどのような企業なのか?

 元々は香港系のコンサルティング会社で投資事業などを主に手がける企業だ。これまで家電関連の企業に投資しており、今はソフト事業やクラウド関連の企業や事業へ投資範囲を拡大している。今後は、携帯電話向けのアプリケーションなどの事業も将来性があるので、投資対象としていきたい。

 ブイキューブとの協業では、同社の中国支社のような役割を担っている。具体的にはV-CUBEの中国語化などを手掛け、シネックスとブイキューブの連絡窓口としての機能もある。

ブイキューブと協業した理由は?

 Web会議のシステムは、ハードウエア製品が多いが、V-CUBEはソフトウエア。ハード製品は互換性や場所を取るなど制約が多い。一方でソフトであるV-CUBEはハードを選ばず使えて柔軟性が高く制約が少ない。そのため、従来のWeb会議システムよりも将来性が高いと判断した。だから我が社が、ブイキューブの中国支社のような位置付けとなり、中国で同製品を売り込むシカケ作りを考えようと思った。

 Web会議システムは、まさに今が中国で売るために抜群のタイミングだ。ニーズは拡大しており、採用する企業は実際に増えている。固定回線だけでなく無線通信のブロードバンド化も中国で加速し始めれば、Web会議の需要はさらに広がるはずだ。

中国で日本企業がソフトを売るために気を付けるべきこととは?

 二つある。一つは、中国でのブランドの確立や認知度の向上が重要になる。「日本で売れたから中国でも売れる」という思い込みをなくして、中国のやり方で売っていく必要がある。簡単なようで、これができずに今までの日本の大手ソフト会社は中国で失敗してきた。中国で販売力を持つ強いパートナーを見つけて組むだけでなく、パートナーとなった中国企業を信頼して任せることも成功の秘訣だ。

 二つめは、ある程度の戦略を決めたら、その中で柔軟に戦術を見直すことだ。日本企業は特にリスクを過剰に恐れて、当初からプランをガチガチに作り、その通りにいかなければすぐに事業を縮小したり撤退したりする。実際にこのような日本企業を、過去にいくつも見てきた。

 日本の企業は当初のプランに縛られすぎる傾向がある。日本企業にとって、中国は未知の市場なのだから柔軟にプランを変えて、戦術をいろいろ試していくべきではないか。日本の本社の判断を待っていたり、日本でのやり方にこだわっていては中国市場の早い変化についていけなくなってしまう。

 中国での事業の立ち上げ時期は、リスクもある程度は取らないとダメだ。「当初の計画は順守してリスクは取りたくない、でも成功はしたい」という都合のいい考えでは、中国でビジネスを成功させるのは到底無理でしょう。