IFRS(国際会計基準)への対応を進めるうえで見落としがちなのは、J-SOX(内部統制報告制度)への影響だ。適用3年目を迎えJ-SOX自体の見直しも進むなか、J-SOX対応を今一度、確認する必要がある。

 上場企業に対し、財務報告に係る内部統制の整備・運用を求めるJ-SOX。適用3年目を迎え、金融庁が2010年12月22日に簡素化案を公開するなど、再びJ-SOXが脚光を浴びつつある。

 11年3月30日には、J-SOXの簡素化を打ち出した文書「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂に関する意見書」が公表された。意見書はJ-SOX対応の教科書に当たる「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準(基準)」と、参考書に当たる「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(実施基準)」で構成する(関連記事:2011年度からJ-SOXが簡素化へ、金融庁が意見書を公表)。

 IFRS(国際会計基準)対応で忘れがちなのは、J-SOX対応の際に整備した内部統制への影響だ。「IFRSを適用する際に、内部統制に大きな変更が生じる可能性がある。IFRS対応を進める企業は注意が必要だ」とプライスウォーターハウスクーパース(PwC)の鹿島章パートナーは指摘する。

 10年11月24日に開催された「第2回内部統制報告制度ラウンドテーブル」でも、IFRSとJ-SOXの関係が話題に上った。年1回開催される同ラウンドテーブルには企業や監査法人、市場関係者などが参加、金融庁や経済産業省がオブザーバーを務め、J-SOXの現状や今後について議論している。

 ラウンドテーブルで監査法人側は「企業がIFRS対応を進めるうえで、J-SOXへの対応は基礎となる」との見解を示した。一方、企業側は「さらなる負担増につながるので、IFRSを適用するならJ- SOXをはじめとする開示制度を一層簡素化すべき」との意見を提示した(関連記事:「『内部統制』の言葉は浸透したが、理解は不十分」---第2回J-SOXラウンドテーブル)。