国際競争力強化に貢献できる「企業内グローバリゼーションの推進」が今また、最も大事なテーマになっています。今回は、グローバリゼーションの肝として、前回の「プロセス」に続いて「人材・組織」を考えてみましょう。

 前回の第2回のプロセス編の記事はいかがでしたでしょうか? 企業における「商流」「物流」「情報」をシングルインスタンスというしごく論理的かつ経済的なプロセス手法でまとめてしまうと、各拠点とりわけ伸長率の高いアジアを含めた新興国のビジネスの成長に影響を与え、引いてはグローバル企業全体の売り上げや利益に影を落とす結果となることを、事例を交えて説明しました。

 付け加えると、シングルインスタンス、「世界中で社員が同じプロセスで仕事をして顧客と接する」というプロセスは、プロセス標準によってコストを押さえる効果がある半面、「各地域のビジネスに対応する柔軟性や地域ベストプラクティスを規制する」というマイナスのインパクト要素も併せもっているのです。

 過去のコラム「矢坂IT基礎デザイン研究所」で繰り返し申し上げているように、プロセスは「商流」「物流」「情報」を俯瞰的に考えます。「拠点プロセスのプロセスを棚卸ししてから、共通プロセス部分を新興国も入れた各国と協議した上で全体最適プロセスを決断し、最低限必要な個別最適は各国の裁量に任せる」という勇気が必要です。

 これはグローバリゼーションにおける大変重要なテーマです。すでに何らかの形でグローバリゼーションに取り組んでいる企業の皆さんは、この視点に立った現状の課題を考えてみてください。まだ、グローバリゼーションを行っていない企業、またはこれからクローバリゼーションを計画中の企業に所属する皆さんは、その標準プロセスのあり方について、「個別最適をある程度尊重した、正しいプロセスグローバリゼーションのあり方」を考えて下さい。

 さて今回のテーマは、グローバリゼーションにおける「人、組織のあり方」です。