「ウィキリークスを潰せない理由」の(前編)では、IPアドレスから逆探知してウィキリークスを潰すことは可能なのか、について解説した。後編では、もう1つの情報であるドメイン名から、ウィキリークスを追い詰めてみよう。

 IPアドレスと同様に、ドメイン名についてもインターネット全体で決して重複が起こらないようきちんと管理されている。IANAの上位組織に当たるICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)という組織がドメイン名全体を統括しており、ICANNとの契約に基づいて、例えば「.com」や「.jp」など個々のドメイン名(トップレベルドメイン:TLD)を管理する「レジストリ」と呼ぶ組織が存在する(図3)。

図3 ドメイン名の管理体系 ICANNという組織がドメイン名全体を統括しており、その下にICANNとの契約に基づいて「.com」や「.jp」などのトップレベルドメインを管理する「レジストリ」と呼ぶ組織がある。
図3 ドメイン名の管理体系 ICANNという組織がドメイン名全体を統括しており、その下にICANNとの契約に基づいて「.com」や「.jp」などのトップレベルドメインを管理する「レジストリ」と呼ぶ組織がある。
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 レジストリは、ドメイン名を使うために必要なデータベースを管理している組織であり、実際にユーザーに対してドメイン名を販売したり、ユーザーが取得したドメイン名の情報をデータベースに登録したりする作業は、一般にレジストリと契約している別の事業者が行う。この事業者のことを、少々紛らわしい名前だが「レジストラ」と呼ぶ。

 ドメイン名がどのレジストラから登録されたかという情報は「Whois」(フーイズ)というサービスを使って調べればすぐ分かる。調べてみると、ウィキリークスがオリジナルのドメイン名として使っている「wikileaks.org」は、米国のレジストラであるDynadot社を通じて取得していることが分かる(写真5)。Whoisでは、最低限問い合わせを受け付けるレジストラの情報を調べられるほか、うまくいけばドメイン名の契約者名や住所まで検索できる可能性がある。このWhoisがあるおかげで、ドメイン名からの逆探知はIPアドレスよりも簡単である。

写真5 Whoisサービスを使ってwikileaks.orgに関する情報を調べてみた結果 Dynadotという米カリフォルニア州のレジストラを通じて2006年10月に取得したことなどが分かる。ドメイン名の所有者情報は掲載されていない(最近はこのように個人情報保護の観点からレジストラの情報しか載っていないケースがよくある)。
写真5 Whoisサービスを使ってwikileaks.orgに関する情報を調べてみた結果 Dynadotという米カリフォルニア州のレジストラを通じて2006年10月に取得したことなどが分かる。ドメイン名の所有者情報は掲載されていない(最近はこのように個人情報保護の観点からレジストラの情報しか載っていないケースがよくある)。
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