日本Androidの会 金沢支部 出村成和

独自SDKをビルド

 続いて、今回作成したPcremoconクラスが追加されたAndroidフレームワークを、独自SDK(開発キット)として1つにまとめてみましょう。今回のように、追加するクラスライブラリが少ない場合は、独自SDKを作成するメリットはあまり大きくありません。ただし、オリジナルのAndroidフレームワークに対して多くの変更点がある場合や、多くのクラスライブラリを追加した場合は、メリットがあります。独自SDKを作成し配布すれば、米Google社が配布しているAndroid SDKに別途、その変更点が含まれているJavaのクラスライブラリをAndroidアプリケーションのEclipseのプロジェクトで追加するよりも、他のアプリケーション開発者が開発環境を構築するための負担を減らせます。

 本連載の第5回でダウンロードしたAndroidのソースコードには、実行に必要なライブラリやアプリケーションの他にも、SDK、エミュレータ、開発ツールのソースコードが含まれています。今回作成したPcremoconクラスを追加した独自SDKを作成してみましょう。

 その独自SDKを作成する手順も自動化されており、UbuntuのAndroidのソースコードがあるディレクトリで以下のコマンドの通りに実行するだけで独自SDKを作成できます。BeagleBoardに接続しているUbuntuで端末を起動し、次のように実行します。

% cd アンドロイドのソースコードがあるディレクトリ名 
% make update-api 
% make sdk 
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 コマンドの意味を順番に解説します。まず、Androidのソースコードが含まれているディレクトリに移動します。次の「make update-api」で、Android SDKに含まれるべきAPIリストを更新します。元からあるSDKに、独自にAPIを追加した後は、1度実行する必要があります。続いて「make sdk」で独自SDKを作成を開始します。

 独自SDKのビルド完了後は「out/host/linux-x86/sdk」ディレクトリに、独自のAndroid SDKが、ZIPファイルとして出力されます。この独自SDKにも、Androidフレームワークの他に、Androidアプリケーションの開発に必要なコマンドツールやエミュレータも含まれていますので、独自SDKを作成した際は、このZIPファイルを開発者に提供するだけで、Androidアプリケーション開発環境を整えることができます。

独自SDKのインストール

 さて独自SDKをインストールしましょう。インストール方法は、前々回説明した、Googleから提供されているAndroid SDKの方法と同じです。今回は、前々回インストールしたSDKを削除し、独自SDKのZIPファイルを展開して前々回と同じ場所にandroid_sdkフォルダを設置します。

 前々回インストールしたSDKと今回作成した独自SDKの相違点は、SDKの「platforms」ディレクトリ内に、今回追加したPcremoconクラスが含まれているフレームワークが存在していることだけです。つまり、コマンドツールやエミュレータは同じものです。ちなみに、前々回インストールしたSDKのplatformsディレクトリの中身は空です。