“情報爆発”の時代を迎え、企業の情報活用戦略は、企業経営に影響を与えるであろう“兆し”、すなわち「パターン」を積極的に見つけ出し、来るべき変化に備える「PBS(パターン・ベース・ストラテジー)」にある。今回は、組織内外のグループを活性化するためのBI(ビジネスインテリジェンス)を実現すると期待が高まっている、ソーシャルネットワーク分析について解説する。

 ソーシャルネットワーク分析とは、個人やグループ、あるいはその他の情報処理実体において、それぞれの間にある情報フローと関係を調査する手法の一種である。組織の内部あるいは複数の企業間に存在する社会的相互作用パターンを“見える化”することで、企業活動に変革を与えると期待されている。

 先進的な企業は既に、社内の個人やグループの間にある相互作用や、ビジネスパートナーや顧客との間にある相互作用のパターンについて理解を深めようとし始めている。もちろん、これらの相互作用のパターンには、機会に相当するものと、混乱を招くものとがある。その違いは、当事者同士のつながりや、情報フロー、価値の交換などを手掛かりに判断する。

 判断材料となる手掛かりは、 BIによって得られる。そうしたBIを可能にするのがソーシャルネットワーク分析だ。企業は、相互作用のパターンから組織に関する新たな知見が得られれば、該当するパターンを活用すればよい。

 例えば、あるソーシャルネットワークにおいて、誰がキーパーソン(中枢にいるコネクター)かが明らかになれば、そのキーパーソンを通じて、トップレベルのパフォーマンスを発揮している社員の行動を模倣するよう他の社員に働きかけることが可能になる。ソーシャルネットワーク分析の結果を利用して、ビジネスパートナー間にある目標の不一致を探り当てられれば、パフォーマンスの低下を未然に防げることになる。

ソーシャルネットワーク分析とPBSの主要要素の関係

 第1回で紹介した「PBS(パターン・ベース・ストラテジー)」においては、次の四つの主要要素が極めて重要な意味を持っている。

(1)パターン探知:オペレーションにプラスまたはマイナスの影響を及ぼすパターンのシグナルを明らかにするための原則や、活動、テクノロジー、リソースに関する取り組み。

(2)オペレーションのテンポ(OpTempo):組織のリーダーが、自身のパターンとそれに関連するペース配分を改める方法を理解するためには、一定の仕組みと統制が必要である。それらを提供するための原則や、活動、テクノロジー、リソースに関する取り組み。

(3)パフォーマンス主導型企業文化:企業が改革を実行するためには、変化の先行指標を監視し、パフォーマンス評価を利用する、すなわち自社のリソースを戦略的パフォーマンス評価基準に合わせて調整する必要がある。そのための原則や、活動、テクノロジー、リソースに関する取り組み。

(4)透明性:企業の健全性を実証したり、差別化に向けて透明性を戦略的に利用したりするための取り組み。

 これら四つの柱は、相乗効果を発揮する。従って、いずれかの柱が欠けてもPBSは十分には機能しない。このとき、ソーシャルネットワーク分析はパターン探知の手法を提供する。そして、そこから得られた情報が、残り三つの柱それぞれの役に立つ。