写真1●ソニービジネスソリューションのブース風景
写真1●ITpro EXPO 2010に出展したソニービジネスソリューションのブース
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 「中小企業の情報システムをフルアウトソーシングできるサービスを目指した」(ソニービジネスソリューション ネットワークサービス企画課シニアサービスプランニングマネジャーの小笠原康貴氏)---。ITpro EXPO AWARD 2010優秀賞を受賞した「マネージドイントラネット」は、中小企業に必要なネットワークとアプリケーションを一括提供するサービスだ(写真1)。キーとなるのは本サービス専用のルーター「マネージドルータ“DigitalGate”」と、サーバー群「bit-driveクラウド」である(関連記事)。

 DigitalGateとbit-driveクラウドを組み合わせて提供することで、「サービス全体を一つの大きなアプライアンスとして管理できるようにした」(小笠原氏)。ユーザー企業が用意するのはパソコンとハブだけ。インターネットVPNやメール、Webサーバー、グループウエア、IT資産管理、基幹業務アプリケーションなどはソニービジネスソリューションが提供する。

 同社は、マネージドイントラネットを「仮想プライベート型クラウドサービス」と位置付ける。インターネットVPN、サーバー、アプリケーション、管理ツールを、同社のセンターからインターネット越しにまとめて提供するからだ。

専用ルーター+クラウドで複数機能の一元管理を容易に

写真2●マネージメントツールの画面
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 マネージドイントラネットの基盤となるのは、インターネットVPNサービスである。特徴は管理の容易さだ。Webベースの管理ツール「マネージメントツール」上で、ルーターの構成を変更したり、LAN/WANを監視したり、ログを集中管理したりできる(写真2)。

 ルーターの設定はマネージメントツールで集中管理でき、個別に設定する必要はない。専用ルーターであるDigitalGateが、マネージマントツールと連携して自動設定する機能を持つからだ(写真3)。拠点には未設定のDigitalGateを届けるだけでいい。DigitalGateをインターネットに接続すれば、自動的にインターネットVPNやアクセス制御などのルーターの各種設定を済ませる。

写真3●専用ルーター「DigitalGate」
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 具体的には以下の通り。DigitalGateにはあらかじめPPP接続用のIDとパスワードを格納したメモリースティックを挿入しておく。DigitalGateをインターネットに接続すると、マネージメントツールのサーバーに自動的にVPN接続する。その後、個別のDigitalGateと対応したルーター設定情報を、マネージメントツールから受け取る。

 ルーターの設定変更時には、ルーターの設定情報をマネージメントツールからDigitalGateに送り込む。こうした機能から、手間なくインターネットVPNを管理できる。

 加えて、DigitalGateとbit-driveクラウドの組み合わせで、簡易的なIPS(侵入防止システム)機能や、LAN上の不正端末検知機能なども提供する。P2Pファイル共有と思われるトラフィックを遮断したり、登録していないMACアドレスのパソコンをLANに接続不能にしたりできる。「料金が高くならない範囲で、中小企業にも必要なセキュリティ機能を盛り込んだ」(小笠原氏)という。

 マネージドイントラネットの基本サービスでは、上記のインターネットVPNサービスに加え、メール、Web、プロキシ、DNS、ログ管理の各種サーバーを利用できる。さらに、ソニービジネスソリューションのセンター経由で、インターネット通信サービスも提供する。ネットワークにかかわる一通りのシステムが、一括提供される格好だ。

 基本サービスの料金は、基本利用料が月額3万円(税抜、以下同)。1拠点追加するごとに月額7000円が加算される。初期料金はサーバーの設定が6万円から、ルーターの設置、設定がオンサイト設置の場合で5万3000円からとなる。