前回(第30回)は予定を変更してサッカーワールドカップ(W杯)日本代表について書きました。日本がカメルーンに勝利したのは喜ばしいことですが、私の「1次リーグ2敗1分け」という予想は外れてしまいました。これについては、後日この連載の中で総括したいと思います。

 さて今回は、情報システムやIT(情報技術)活用で失敗が絶えない「ダメな“ユーザー企業”」にテーマを戻します。今回からは、日本という国全体としてダメな“ユーザー企業”を減らし、IT活用で成果を上げる企業・組織を増やすために考えるべきことを述べます。つまり、政策や事業として、政府・中央官庁に考えてもらいたいことです。

 2010年6月上旬に鳩山由紀夫内閣は総辞職し、菅直人内閣が発足しました。7月には参院選があります。2009年の「政権交代」以来、様々な法制度がどんどん変わろうとしています。“事業仕分け”(関連記事)などによって、表向きは情報公開が進んでいるように見えます。しかし、まだ不十分なのではないでしょうか。

情報過多で本質が見えにくい時代に

 1960年代に「産業の情報化」と「情報の産業化」が叫ばれました。50年も前のことです。それから半世紀が過ぎ、日本だけではなく、発展途上国を含む世界中で高度情報化と情報産業の多様化は急速に進みました。

 ただ、情報処理の量は進化しましたが、その効果あるいは質に着目して「国民生活がより豊かになっているか」という観点で考えてみるとどうでしょうか。

 これまでは、情報量が増えれば便利になる、という方向で情報化が進んできましたが、従来の延長線上では進まない課題があります。つまり、情報を発信したがる人・組織・企業などによる情報の流通は増加の一途をたどるでしょうが、そうではない見えにくい情報は、相対的に目立たなくなってします。