(前回へ戻る)

 サッカーワールドカップ(W杯)南アフリカ大会が開幕しました。今日(2010年6月14日)は日本代表の初戦である対カメルーン戦が日本時間の23時から行われる予定です。突然ですが、今回は予定を変更して、日本の“サッカー国力”を分析するとともに、これとの比較で日本の“IT(情報技術)国力”を考えてみたいと思います。

 実は、私は元サッカー少年で、今も休日は少年サッカーチームのコーチとして子どもたちと一緒に汗を流しています。今の日本の“サッカー国力”について、一言いわずにはいられません。

 W杯では国・地域の代表チームが覇を競います。それぞれの代表チーム、すなわち選手、指導者、スタッフという数十人の完成度が結果を左右しますが、実はそれだけではありません。“サッカー国力”と呼ぶべき国力の差が歴然と存在します。

テレビ中継に表れる“サッカー国力”の低さ

 “サッカー国力”には普及・育成・強化という3つの観点があります。日本代表チームを主体として見れば、普及とは母集団の大きさを左右する変数であり、育成とは母集団の質の良さを示し、強化とは代表チームの強化を表します。

 サッカーの歴史が浅い日本ですから、普及・育成・強化のいずれにおいても、欧州や南米のサッカー強国とは大きな差があります。しかし日本では、普及や育成についての議論や努力が少ないわりに、代表チームの戦績や戦術ばかりが議論されがちです。

 日本でサッカーの普及レベルが低いことは、日本のテレビ局(特に民放)のサッカー中継に如実に現れています。

 例えば守備に追われていたチームが速攻で逆襲を仕掛けるときのカメラワークです。ボールが右サイドの選手に渡り、右を突破するかといった局面で、カメラは右サイドに寄ります。しかし、逆サイドすなわち左側の選手が全速力で中央に寄せつつ走り、いわゆるアーリークロスと呼ぶクロスボールに備えた時に、この逆サイドの重要な動きを視界から外していることが多いのです。