アクセンチュア IFRSチーム
テクノロジー コンサルティング本部
シニア・マネジャー
大野 純一
IFRS適用は連結決算が対象となると聞きます。単体決算は関係ないのでしょうか?
欧州での制度面におけるIFRS適用状況を見ると、連結決算では「必須」、単体決算は「任意」というのが主流です。税務については各国別の基準を尊重する形となっています(図)。

日本や米国など、今後IFRSを適用していく国においても、基本的に制度面においては同様の方向性を取っていくものと考えられます。
単体でも業務/システム対応は必要
単体決算では制度面においては任意ですが、業務/システム面での対応が必要になります。IFRS適用の影響を受ける業務プロセスを表に示します。
No | 影響を受ける業務プロセス | 業務プロセスに影響を与える主なIFRS規定 |
---|---|---|
1 | 会計の前方業務 | 収益認識、研究開発、外貨換算 |
2 | 資産会計・減損会計 | 資産除去債務、投資不動産、のれん償却、減損処理 |
3 | 金融商品会計 | ヘッジ会計、有価証券の評価、社債発行費・株式交付金 |
4 | 連結セグメント会計・経営管理 | 連結の範囲、セグメント情報 |
これらのプロセスでは、IFRS適用への対応を考える必要があります。例えば、収益認識を納入基準とするために移送中の在庫を管理できるようにする、固定資産の償却情報についてIFRS/税法に対応して別々に保持するといった対応が想定されます(収益認識については、キーワードで理解するIFRS [6]収益認識を参照)。
単体の財務報告もIFRSベースに切り替えることが理想
マーケットに開示される情報(すなわち、経営者が日々見る数字)は今後、IFRSが中心となっていきます。そのため、社内外の情報の整合や業務スピードなどを考えた場合、単体決算においてもIFRSに基づく記帳/経営管理に切り替えることが望ましいことになります。
加えて、グローバル資金調達、外国人株主への業績説明といったグローバルマーケットにおける経営活動では、連結/単体によらず、IFRSに基づく経営情報開示が要求されると考えられます。
財務報告としてIFRSが必須となるのは連結決算です。しかし、単体を含めてIFRS対応を実施し、グループ全体で一貫した経営管理を実行していくのが理想形であるといえます。
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