2010年に入ってから、いわゆるパソコン以外の新しい端末に関する話題が増えてきた。コンピュータ業界の新たな主要分野になりつつあるスマートフォン市場では、米Googleの「Android」や米Appleの「iPhone」を中心に話題が盛り上がっている。また、米Appleが発表するという噂のタブレット型端末についても、発表前にも関わらず米Amazon.comから牽制する動きが出てきている。

Take1:携帯電話機を舞台にWindowsがLinuxと激突

 ご存じのように、Linuxやそれ以上にマイナーなMac OS Xは、パソコン向けOS市場では大きなシェアをWindowsから一度も奪えていない。ところが最近人気のスマートフォン(米Googleの「Android」や米Appleの「iPhone」)は、Windows以外のOSを採用しており、コンピュータ業界の新たな主要分野になりつつあるスマートフォン市場でWindowsを追い抜くかもしれない。

 Microsoftはこの状況にうまく対応できていない。MicrosoftがiPhoneの脅威を予測して迅速に対処できないのは今に始まったことではないし、Androidの急激な成長に対する鈍い反応も予想された通りだ。

 それどころか、Microsoftは無茶苦茶な反撃をし始めた。同社のRobbie Bach氏(「Zune」や「Windows Mobile」といった大失敗製品の責任者)が金融アナリスト向け会議の場で「LinuxベースのスマートフォンやLinuxを利用した携帯電話機が市場にあふれているものの、『品質』基準を満たせないだろう」と述べたのだ。しかも「モバイル市場にはOSの種類が多すぎる」と付け加えた。Bach氏の見解そのものは認めるが、現在の戦略でWindows Mobileをこのまま続けても状況は改善しないだろう。

 当然Linuxコミュニティ(そう、まだコミュニティが残っているのだ)は、この発言に激しく反発した。もっとも、Linuxコミュニティは自分たちの存在を示したかっただけだろう。

 いずれにしろLinuxベースの携帯電話機、なかでもAndroid搭載デバイスは間違いなくWindows Mobileを超える。それは単に時間の問題だ。

Take2:Amazon.comが「Kindle」用アプリ開発ツールを公開、Appleに対抗

 筆者は米Amazon.comの電子ブック・リーダー「Kindle」が大好きだ。発売日にすぐ手に入れたし、妻ともども新聞や本を読むのに毎日使っている。Kindleは特定の目的に適したデバイスであり、その唯一得意な分野というのが読書だ。

 Amazon.comは2010年1月第4週、Kindle用アプリケーション(同社は「アクティブ・コンテンツ」と呼んでいる)の開発手段を公開すると発表した(関連記事:Kindle向けアプリ開発が可能に、アプリはKindle Storeで販売)。こうしたアプリケーションとしては、位置情報対応のレストラン・ガイド「Zagat」、言葉を題材にしたゲームやパズル、インタラクティブな操作が可能な電子ブックなどがあるという(子ども向けのアドベンチャー・ゲーム・ブックなども考えられる)。

 筆者の考えるポイントはこうだ。Appleが間もなく(「Jesus Tablet」などと呼ばれる)タブレットPCをリリースする。そのため、ユーザーがKindle以外の環境で電子ブックを読みたいと思った場合に備え、Amazon.comはApple製タブレットPC熱を冷ましておきたい、ということである(関連記事:Appleが1月27日にイベント開催、うわさのタブレットPCを発表か「スマートブック」や「タブレットPC」に注目が集まったCES)。

 ただしAppleのタブレットPCがどんなに優秀なデバイスだとしても、目に優しくて継続表示時に電力を消費しない電子ペーパー・ディスプレイの敵ではない。電子ブック、雑誌、新聞といったコンテンツは、タブレットPCなどのITデバイスでも読めるが、電子ペーパーを採用するデバイスほど快適でないし、その状況は今後も変わらない。