1位「Google Chrome OS」、2位「LTEサービス」、3位「100Gビットイーサネット」、4位「LBS(位置情報サービス)」、5位「クラウド型セキュリティサービス」――。

 日経NETWORK2010年1月号の「編集部が選ぶ 2010年の注目ネットワーク技術&サービス」と題した記事で掲げた順位である。2010年に提供が始まる製品やサービスのなかから、特に注目すべきものを日経NETWORK編集部の皆で投票した結果だ。

 選んだ五つから共通して見えてくることもあるが、まずは1位から順に、個々の技術やサービスを概観してみよう。

「100Mの無線データ通信」と「100Gのイーサネット」が登場

 1位に選んだのは、米グーグルが開発中の「Google Chrome OS」である。ネット利用を前提とした軽量OSだ。2009年7月にコンセプトが(関連記事1関連記事2)、11月に詳細が(関連記事)発表された。速く、安全で、使い勝手が良いWebアクセス環境の提供を目指す。2010年後半には同OSを搭載した機器が登場する見込みである。

 編集会議では、Chrome OS上で使うWebブラウザー「Google Chrome」に実装される「SPDY」というプロトコルを推す記者もいた。SPDYはWebアクセスを高速化するためのもの。多重ストリームやリクエストの優先順位付け、HTTPヘッダー圧縮などの機能を用いて遅延を抑える(関連記事)。最終的にはSPDYを含めてChrome OSを1位とした。

 2位は、3.9世代の携帯電話規格といわれている「LTE」のサービス。LTEはlong term evolutionの略で、携帯電話の次世代通信規格だ。主にデータ通信での利用が想定されており、規格上は100Mビット/秒を超える伝送速度を実現できる(15MHz幅を使う場合)。

 世界では、北欧の通信事業者であるテリアソネラが2009年12月、世界初のLTE商用サービスをスウェーデンとノルウェーで開始した。日本ではNTTドコモがいち早く、2010年12月にサービスを始める予定だ(関連記事)。つながりやすさと、スループットをどの程度まで確保できるかが気になるところである。

 3位には「100Gビットイーサネット」を挙げた。次世代の高速版イーサネットは、IEEEが「IEEE802.3ba」として標準化を進めている。仕様はほぼ固まっており、2010年6月に規格化される予定だ。複数の通信機器ベンダーなどが製品を発表済みで、2010年中に出荷を開始する。

 IEEE802.3baは、ケーブルや伝送速度、伝送距離などによって8種類に分かれている。伝送速度は40Gビット/秒と100Gビット/秒の2種類。40Gはデータセンター内のLANなどで、100Gは通信事業者の局舎内ネットワークや中継回線、事業者同士の相互接続点などでの利用が想定されている。100Gがあるなら40Gは必要なさそうだが、コスト面から使い分けがされる見込みだ。

 4位は「LBS」(location based services)である。日本語では「位置情報サービス」と訳され、GPS(全地球測位システム)などで測定した位置情報を活用するサービス全般を指す。LBS自体は数年前からあるが、2010年は位置情報を携帯電話のアプリケーションと結び付けたサービスが広がりそうだ。

 5位は「クラウド型セキュリティサービス」とした。一般的なセキュリティ対策だと、マシンにセキュリティソフトをインストールしてローカルでスキャンする。クラウド型では、マシン内のファイル情報をサービス提供者のサーバーに送り、そこでスキャンする。最新のウイルス定義ファイルをリアルタイムで適用できたり、検出情報を共有できたりといったメリットがある。大手セキュリティベンダー各社はクラウド型と銘打ったサービスを発表しており、2010年にはさらに増えそうだ。