IT技術者は、自らを取り巻く環境の変化に対応し、身に付けるべきテクノロジを選択しなければならない。そのための羅針盤になることを目指し、情報サービス産業協会(JISA)が作成するのが、情報技術マップである。今回は、技術トレンドを、よりきめ細かく把握するための、「属性別分析」を紹介する。
情報サービス産業協会(JISA)情報技術マップWGでは、情報技術マップについて、様々な角度から分析している(第1回参照)。前回に紹介した「ライフサイクルマップ」では、過去5年分の調査データを時系列に分析することで、各技術の普及度・成熟度を導き出した。
今回紹介する「属性別分析」は、IT業界に対するセグメンテーションを行い、よりきめ細やかな技術トレンドの把握を試みるものだ。以下では、属性別分析の中から、主に企業属性による動向把握を目的とした「資本系列別」「主要提供サービス別」「企業規模別」の三つの分析結果を取り上げる。
JISA情報技術マップWGでは、JISA会員企業の技術者を対象にアンケート調査を実施している。2008年12月に実施した調査の回答件数は4416人。そこでは、回答者自身や回答者が所属する企業の属性も尋ねている。この属性を元に、「利用実績の高い技術」(JISAでは「SI実績指数」が高い技術と呼んでいる)や「着手意向の高い技術」(同「着手意向指数」が高い技術)のトップ20技術の違いを比較したのが、属性別分析である。
資本系列別に見た技術志向の違い
資本系列別分析では、アンケートにおける分類のうち、(1)メーカー系、(2)ユーザー系、(3)独立系の3属性を比較対象とした。資本系列別の回答者属性を表1に示す。
選択肢 | 回答件数 | 回答比率 |
---|---|---|
メーカー系 | 993 | 22.5% |
ユーザー系 | 485 | 11.0% |
独立系 | 2631 | 59.6% |
その他 | 181 | 4.1% |
不明 | 126 | 2.9% |
合計 | 4416 |
仮説:メーカー系はゼネコン志向、ユーザー系は運用管理を含めたライフサイクル全般のカバーを志向、独立系はものづくり志向である。
実際の回答結果から、この仮説を検証しよう。図1に示したのが、属性別の利用実績/着手意向それぞれでトップ20に挙がった技術の違いである。