筆者は数週間前から「Steve」という名の米Microsoftの社員(と元社員)に注目していた。最初にニュースになったSteveは,Windows担当社長に任命されたSteven Sinofsky氏である(関連記事:「Windows 7」責任者のSinofsky氏がWindows部門のトップに昇格した真相)。そして今度は,同社の前セキュリティ専門家(Windows IT Proの寄稿者でもある)Steve Riley氏が自身のブログTwitterで,米Amazon.comにクラウド・サービス事業担当エバンジェリスト兼ストラテジストとして入社すると発表したのだ。

 Riley氏が今回の転身を発表したブログ記事を引用する。

 「(2009年)7月13日月曜日,Amazon Web Services(AWS)部門のエバンジェリスト兼ストラテジストとしての仕事を始めた。AWSになじみのない方のため,簡単に説明しよう」。「はるかか彼方まで行った恒星間旅行から2年振りに帰還した人でもない限り,クラウド・コンピューティングの急成長はご存じのはずだ。かつてのアプリケーション・サービス・プロバイダと違い,クラウド・コンピューティングは定着する。ビジネス・モデルは完成し,必要な技術も整っており,顧客は確実に恩恵を得られる」

 Microsoftのセキュリティ部門担当者だったRiley氏には,ほかの顔もある。TechMentor ConferencesやRSA,Black Hat,Windows and Exchange Connections,InfoSec US,(ISC)2など,同社の様々なカンファレンスの常連だった。

 Amazon.comは以前からクラウド・コンピューティング事業に重点投資し,開発者/IT専門家向けクラウド対応サービス・プロバイダの集団から早い段階で抜け出していた。Microsoftチーフ・ソフトウエア・アーキテクトのRay Ozzie氏はPDC 2008カンファレンスでわざわざAmazon.comを賞賛し,「これから学んでいくデザイン・パターンやアーキテクチャ・モデル,ビジネス・モデルはAmazon.comが作り上げたものであり,われわれは例外なく同社の偉業を享受しているのだ」と評した。

関連記事(英文):

・「Amazon Web Services:Cloud Computing Pioneer」(「Amazon Web Services:クラウド・コンピューティングのパイオニア」)
・「Big Blue Gets on Amazon's Cloud」(「IBM,クラウド事業でAmazon.comと提携」)
・「PDC2008:Windows Azure and Amazon AWS」(「PDC 2008:Windows AzureとAmazon.comのAWS」)