Microsoftは5月26日,Windows Server 2008およびWindows Vistaの最新サービス・パックであるService Pack 2(SP2)をリリースした。デスクトップOSとサーバーOSの開発を並行して進めることに決めたMicrosoftのおかげで,このサービス・パックの実行ファイルは両方のシステムで使用できる。

 Vistaに関しては1年前にSP1のメジャー・リリースがあったが,Windows Server 2008に関しては,SP1相当のものがプリインストールされた状態で登場した。つまり,Windows Server 2008にとって,今回のSP2が実質的にはじめてのサービス・パックとなる。今回のSP2は従来のサービス・パックのように,基本的にはこれまでリリースされた更新をまとめたものであり,機能的な変更は数点が加えられているのみである。Windows Server 2008 SP2およびWindows Vista SP2について知っておくべきことをまとめておこう。

Server 2008およびVistaそれぞれに共通するSP2の改良

 公開されたSP2には,Windows Server 2008とWindows Vistaに適用される多くの重要な改善が含まれる。それらの一部を紹介すると以下のようなものがある。

●Windows Search 4.0:個別の更新としてVistaに提供されているWindows Search 4.0は,パフォーマンスを向上し,グループ・ポリシーへの対応を拡張し,暗号化されたファイルの索引付けを行う。

●Bluetooth 2.1のサポート:Windows Vista Feature Pack for Wirelessという更新も個別に提供されている。これにより,Bluetoothワイヤレスの最新バージョンに対応できる。

●Blu-rayデータ・ディスクへの書き込み:SP2を適用すると,Vistaのユーザー操作シェルからBlu-rayデータ・ディスクへ書き込めるようになる(この機能にはBlu-rayムービーの作成は含まれていない)。

●exFATファイル・システムの改良:MicrosoftはExtended FAT(exFAT)ファイル・システムを,USBストレージなどのフラッシュ・デバイスに向けたよりモダンなファイルシステムとして開発した(FAT/FAT32にあった4Gバイトのファイル・サイズ制限を廃止し,1つのフォルダに1000個以上のファイルを格納できるようにした)。exFATのサポートはVista SP1で追加されたが,SP2ではこのサポートにUTCタイムスタンプを含めるよう拡張し,タイムゾーン間でのファイルの同期を実現している。

●ワイヤレスの向上:SP2ではWindows Connect Nowのテクノロジーを活用し,ワイヤレスの設定を簡素化している(この機能はWindows Vista Feature Pack for Wirelessの一部としても提供されている)。また,スリープ・モードから再開する際のワイヤレス接続のパフォーマンスも向上している。

●VIAの64ビット・サポート:SP2を適用すると,Windows Server 2008とWindows VistaでVIA Technologies社の64ビット・マイクロプロセッサに対応できる。

●電力管理の向上:Microsoftによると,既定の電力管理ポリシーでSP2を適用することで,これまでに比べて10%程度効率が向上する。

●Service Packクリーンアップ・ツール:SP2にはService Packクリーンアップツール(compcln.exe)が含まれている。これを使うと,SP2で置き換えられる古いバージョンのRTM(Release to Manufacturing:製造工程向けリリース)やSP1のファイルを完全に削除できる。これによりディスク容量を節約でき,インストールイメージのサイズを小さくすることができる。

Server 2008だけを対象とする更新もある

 SP2は,Windows Server 2008およびWindows Vistaの両方のアップグレードに使用できる。だが,Windows Server 2008の初期出荷バージョンをWindows Server 2008 R2に更新するものではない。Windows Server 2008 R2はクライアントOSのWindows 7に対応するもので,2009年下半期に出荷される予定である(R2に関する詳細は,「Windows Server 2008 R2の改良点ベスト10」を参照されたい)。

 SP2にはWindows Server 2008のみに対応する変更もある。たとえば,Windows Server 2008の初期出荷バージョンにはHyper-Vのプレリリース・バージョンが含まれていたが,SP2にはHyper-V 1.0の最終出荷バージョンが含まれている。

 Hyper-Vはハイパバイザー型の仮想化ソフト。Windows Server 2008 Standard Editionで1つ,Server 2008 Enterprise Editionで4つ,Server 2008 Datacenter Editionで無制限のゲストOS環境を無料で利用できる。

 また,SP2ではTerminal Serverのライセンス・キーに関する問題を解決する。

SP2を適用しても大きな問題は発生しない

 VistaのSP2は,これまでにリリースされたホットフィックスと更新をまとめたものであり,開発をより容易にするためにパッケージ化されたものである。Microsoftではハードウエアおよびソフトウエアの互換性に関する大きな問題は認識していない。

 Microsoftは,SP2単体以外に,SP2をWindows Server 2008やVistaのOS本体と統合したバージョンも開発者向けに提供している。これによりVistaのリリース以降はじめて,開発者は更新を簡単に組み込めるようになる。筆者は昨年からSP2のさまざまなプレリリースをテストしてきたが,今のところ問題は発生していない。もちろん,皆さんもご自分でこの更新をテストするだろうが,ほとんどの環境で問題が生じることはないだろう。