以前は「次世代PHS」と呼んでいたXGPの試験サービスを2009年4月27日に開始したウィルコム(関連記事)。無論,現行の主力サービスはまだPHSだが,標準化団体は一足早く看板を「XGP」に架け替えた。PHSの海外普及促進や仕様の標準化策定などを担っていた「PHS MoU Group」は,4月2日に開催した総会で「XGPフォーラム」への名称変更を決定。議長や副議長,事務局など従来のPHS MoU Groupの体制を引き継ぎ,XGPの普及促進や標準化策定に取り組む。

 ただ,実際のXGPサービスは,現行のPHSサービスをそのまま引き継ぐわけではない。特にすんなりと進みそうにないのがXGPの基地局展開だ。XGPフォーラムの説明会で講演に立った同フォーラム副議長の近義起ウィルコム副社長は,モバイル・ブロードバンドの現状を次のように述べる。(1)トラフィックは年々増加,(2)現在の都市部偏重のトラフィックがいずれ全地域に拡大,(3)物理限界があるため無線容量の飛躍的拡大は困難,(4)唯一の解が基地局展開のマイクロセル化だが建設に期間を要し,技術的課題もある。

 これらのうち近副社長は,(4)こそがPHSのサービス展開で取り組んできたことであると強調する。PHSの既存基地局はセル半径の小さなマイクロセルで展開されており,その数は約16万局。モバイル・ブロードバンドのインフラとして最適であり,そこで培った技術や経験がXGPのサービス展開にも生かせるとした。

 ただし,マイクロセルの展開は都市部に限った話となりそうだ。地方に関しては,XGPサービスも当面はマクロセルとする公算が大きい。