ノートPCに搭載されるテクノロジの進化により、社外でもノートPCを持ち出して仕事を継続できる環境が整ってきた。ノートPCの利用を遠隔地からロックしたり、データを消去したりする機能が登場することで、“持ち出し禁止”の理由となるセキュリティ上の課題を解消するからだ。最新テクノロジを前提に、運用ルールを見直す必要がある。

 「!LOCK yamato」――。携帯電話から暗号のようなメールを送信するとノートPCの画面が突如暗転。「This computer has been remotely locked」(このコンピュータは遠隔ロックされました)というメッセージが表示され、一切の操作ができなくなる。

 これは、米レノボ・グループが開発したセキュリティ機能「Constant Secure Remote Disable」の利用例である。紛失・盗難時に遠隔操作でノートPCの利用をロックできるようにする。レノボは、この機能を同社のノートPCに搭載すべく、準備を進めている。

ノートPCの持ち出しをもっと安全に

 レノボがこうした機能を開発する背景にはノートPCを「持ち出し禁止」にする企業が多いことがある。レノボ・ジャパンの丸一智己 TVT開発第二TVT開発アドバンスドテクノロジー専任開発技術担当部員は、「情報漏洩対策機能を強化して、ノートPCをもっと安心して持ち歩けるようにしたかった」と話す。第1回で紹介したように、IT技術者の約13%がノートPCの持ち出しを禁止する職場で働いている。

 本来持ち歩いて利用するためのノートPCが、情報漏洩を気にするあまり持ち出せない。レノボなどのIT企業や通信事業者はこうした状況を変えるべく、「紛失・盗難時にパソコンを使えなくする」「パソコン内にデータを残さない」といった新たな情報漏洩対策を打ち出してくる。ユーザー企業は今、こうしたモバイルテクノロジの進化をいかに活用するかを検討すべき段階にある。

 金融危機に端を発する急激な景気後退もあり、企業の多くは業務の効率化が待ったなしの状況だ。ノートPCや携帯電話の活用は、効率化を推進する重要なツールになる。オムロンフィールドエンジニアリングのように、「ノートPCと携帯電話をフル活用して、保守技術者が直行直帰できる環境を作る」(同社の永田誠情報企画課課長代理)という企業も出てきている。