工業用ミシンなどを製造するJUKIは2002年からSCM（サプライチェーン・マネジメント）改革に取り組んだ成果で、いったん順調に在庫を減らしていた。だが、2007年秋以降の景気減速で新たな課題を突きつけられている。同社の期末在庫は2007年3月期は375億円と、2002年3月期の611億円に対して6割程度までに減っていたのに、2008年3月期は405億円に増加。2008年12月時点では430億円にまで増えているという。「特に2008年7～9月の市況の落ち込みが予想以上だった」とCIO（最高情報責任者）を務める中村宏取締役CIO兼総合企画部長は顔をしかめる。業績は2008年3月期の経常利益115億1600万円から、2009年3月期は55億円の経常赤字を見込んでいる。
2002年からのSCM改革に当たっては、同年10月に16億円を投じてERP(統合基幹業務)パッケージを導入し稼働させた。月次ベースだった販売・生産計画を週次ベースに変えるなどの業務改革も実行した。2007年からは海外の販売会社6社にもERPシステムを導入した。それにもかかわらず在庫が増加してしまったことを受け、中村CIOは業務改革を一層強化する必要があると考えている。「システムではなく、使いこなせなかった組織に問題がある。今回のような予期せぬ事態にも対応できるよう、運用のレベルアップを図りたい」（中村CIO）
既に2008年12月に物流管理部を設置して発注権限などを集約。在庫量を決める責任部署を明確にした。「報告、管理の精度が高まってきた」（中村CIO）と手応えは得つつあるようだ。
◆ITベンダーに対して強く要望したいこと、IT業界への不満など
・保守期間の算定方法を見直してほしいと思います。PCサーバーといったハードウエアは、5年間の保守契約を結ぶことが多い。けれども、開発期間に2年かかってしまい、実質稼働しているのは3年しかないといったことがよくあります。稼働開始から算定してもらいたいです
・経費削減のさなかの保守料値上げに頭を痛めています。購入時にライセンス料が変わらない範囲で多めに購入していたので、本当に必要なライセンス数を見極める作業を進めています
◆最近読んだお薦めの本
・五木寛之氏の本を気に入ってよく読みます
◆ストレス解消法
・散歩と新しい建物を見物するのが休日の楽しみです
