注目の書籍

好評発売中!

IT業界徹底研究就職ガイド2013年版

IT/ネット業界で働くと いうことを分かりやす く解説。2013年3月卒 業の学生向けの1冊。

必聴講座ご紹介

Cloud Days Tokyo 2012
クラウド時代を勝ち抜く企業戦略を考える

エムオーテックス


Cloud Days Tokyo 2012
クラウド時代の企業インフラとユーザー環境の姿

ヴイエムウェア


Cloud Days Osaka 2012
クラウドでIT維新を〜ビジネスを加速させるベストプラクティス

アマゾン データ サービス ジャパン

開発プロセス

PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)を生かす

ITpro

第46回 ユーザー企業の組織的PM力を強化せよ(2)

2008/10/24

ユーザー企業内でPMO組織を立ち上げても,単なる“管理屋さん”に陥り,「現場から煙たがられるだけ」というケースが実に多い。それを防ぐには,基本的な部分を正す必要がある。まず「情報を吸い上げる人的ネットワーク」を作り,課題を「スムースにエスカレーションさせる」。当たり前のように思われるだろうが,それができていないから“管理屋さん”に陥るのだ。

高橋信也
マネジメントソリューションズ 代表取締役


 前回,ユーザー企業の組織的プロジェクトマネジメント(PM)力を付ける必要性について述べました。ユーザー企業は複数のプロジェクトを複数のベンダーやコンサルティング会社に発注する立場上,プロジェクトマネジメントやプログラムマネジメントは必須のスキルとなります。それを個々のマネジャに任せるだけではなく,PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)などにより組織的なプロジェクトマネジメントを実行することが肝要です。

 しかしながら,PMO組織を発足させたとしても,そもそも狙いや役割が不明瞭なままでは企業の中で定着しません。PMO組織の役割を小さく限定してしまうと,単なる“管理屋さん”に陥ってしまう可能性があるので,注意が必要です。

 一方,PMO組織の役割に関して,大風呂敷を広げてしまったら,どうなるでしょうか。PMOという組織には,非常にたくさんの役割を期待されるのが常です。例えば,PMOに関する調査結果から浮かび上がってきたPMOの役割の一部として,下記のようなものが挙げられています。

・上層管理部門にプロジェクトの進捗を報告する
・スタンダードな手法を展開・実施する
・プロジェクトのパフォーマンスを監視しコントロールする
・トレーニングを含めた人材の能力開発をする
・上層経管理部門にアドバイスする
・プロジェクト間の調整をする
・組織内のプロジェクトマネジメントを促進する
・PMOのパフォーマンスを監視しコントロールする
・プロジェクトマネジャを指導する
・プロジェクトのドキュメントを保管・管理する
・プロジェクトを監査する

 役割がこれほど多岐に渡ってしまうと,PMOの要員配置や人数も分からなくなってしまいます。また,PMOを組織化したとしても,必要十分な人数を常時抱えておくことはできません。必要最低限の人数で,どのように効果を発揮していくかが重要な点です。以下,PMOを推進していくに当たって,ぶつかりやすい壁に対する対処策を述べていきたいと思います。

ポイント(1)プロジェクト管理情報ネットワークを構築する

 ユーザー企業にとって必要なPMOの第1条件とは何でしょうか。ほとんどの場合,すべてのプロジェクトの状況を把握することだと思います。プロジェクト状況把握のために,プロジェクト管理標準を導入・定着させ,プロジェクト報告会議の定例化,プロジェクトマネジャのトレーニング,プロジェクト管理ツールの導入・定着化といった,さまざまな取り組みが行われていることでしょう。

 しかしながら,管理帳票はたくさんできているのに,有益な情報が得られていないのが実情です。結果的に,管理プロセスが形骸化する傾向にあります。また,管理を徹底させようと現場に多くの管理負荷を与えてしまうことも,管理プロセスを形骸化させてしまう要因の1つです。

 それを防ぐためには,「人的な管理情報ネットワーク」を構築する必要があります。PMOは,公式・非公式な情報収集のルートを,必ず握っておかなければなりません。また,「報告・連絡・相談」という報連相(ほうれんそう)の習慣を,PMOおよびプロジェクトマネジャ自身がしっかりと身に付けるべきです。これが情報を吸い上げる組織構造の基礎になります。

ポイント(2)課題のエスカレーション・プロセスを定着させる

 情報を吸い上げる組織構造ができたとしても,ただ漫然とプロジェクトの問題を話し合っているだけでは何の解決にもなりません。社内PMOという立場上,プロジェクトの情報はいくらでも入ってくるため,単なる“評論家集団”に陥りがちです。プロジェクトの現場から見ると,「うるさい外野」のように映り,プロジェクトマネジメントの改善につながりません。

 PMOはステークホルダーマネジメントに貢献すべきです。プロジェクトマネジャがプロジェクト内で解決できない課題に対して,社内のどこにどのようにエスカレーションすべきか,PMOはアドバイスだけでなく,一緒に動いて課題をエスカレーションするための努力が必要です。

 さて,次回は引き続き,以下の3つのポイントについて述べたいと思います。
(3)プロジェクト管理の必要性を“腹落ち”させる
(4)PMO側スタッフのマインドセットを変える
(5)プロジェクトから必要と思われるような「PMOの実績」を上げる


高橋信也(たかはし しんや)
マネジメントソリューションズ 代表取締役
 1972年福岡生まれ。修猷館高校を卒業した後,上京。上智大学経済学部卒。ゼミは組織論,日本的経営の研究。大学卒業後,アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)入社。CやC++によるプログラミングから業務設計まで幅広い工程を経験した後,2001年よりキャップジェミニのマネジャとして経営管理・業績管理のコンサルティングプロジェクトに携わる。

 コンサルタントとしての外部の目からだけではなく,内部の目でマネジメントを経験したいとの思いから,SONY Global Solutionsへ入社。その当時,最年少プロジェクトマネジャとなる。グローバルシステム開発プロジェクトのPMOリーダーとして活躍。インドにおけるオフショア開発を経験。

 コンサルテーションから,自社開発のソフトウエア提供,改革実施後のチェンジマネジメントまで,「知恵作りのマネジメント」を支援するマネジメントソリューションズを設立し,現在に至る。連絡先は info@mgmtsol.co.jp

この記事に対するfacebookコメント

nikkeibpITpro

読みましたか? 〜 未読記事をご紹介