写真1●シトリックス・システムズ・ジャパンのブース
写真1●シトリックス・システムズ・ジャパンのブース
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写真2●サーバー仮想化プラットフォーム「Citrix XenServer 5」の目玉は高可用性
写真2●サーバー仮想化プラットフォーム「Citrix XenServer 5」の目玉は高可用性
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 エンタープライズ部門でAWARDを受賞したシトリックス・システムズ・ジャパン(写真1)の「Citrix XenServer 5」は,物理サーバーを仮想マシンで分割利用するサーバー仮想化プラットフォームだ。

 同社がITpro EXPO 2008 Autumn前日の2008年10月14日に国内発表したバージョン5では,可用性の向上やストレージ製品との連携強化などの機能を追加。先行する米VMwareと遜色ない機能を一通りそろえた。

 バージョン5で強化した機能は大きく三つある。(1)HA(高可用性),(2)ストレージの直接制御,(3)運用管理負担の軽減だ。中でも「HAが最大の強化点」(マーケティング本部プロダクトマーケティングの竹内裕治担当部長)で,ITpro EXPO Autumn 2008の同社ブースでは可用性の向上を前面に押し出していた(写真2)。

物理サーバー障害から約1分で復旧

写真3●障害を起こした仮想マシンを検知して別サーバーで再起動
写真3●障害を起こした仮想マシンを検知して別サーバーで再起動
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 (1)のHAは,サーバー・クラスタ・ソフトなどを手がける米Marathon Technologiesと共同開発(関連記事)したもの。仮想マシンに障害が起こった場合は再起動,物理サーバーの障害時は別の物理サーバーで仮想マシンを立ち上げるフェイルオーバ機能だ(写真3)。仮想マシンの稼働状態をXenServerのハイパーバイザが監視し,障害発生時にあらかじめ設定したポリシーに従って復旧作業を実施する。標準搭載するのはOSレベルの復旧で,アプリケーション単位での復旧を保証する機能はMarathon Technologies製のオプションとして提供する。

 ただしHAによる可用性は,物理サーバーをまたいだフェイルオーバに約1分かかるレベル。現状では「情報系の業務アプリケーションのように無停止が必須ではない分野を想定している」(竹内担当部長)。これは他社の仮想マシン・ソフトでも同様で,例えばVMwareは「VMware Fault Tolerance」という名称のFT機能を開発中だ。今後はHAからFT(無停止)に駒を進める計画。HAと同じくMarathon Technologiesと共同開発中のFTソフトを2009年に提供する予定である。

ストレージ製品の機能を直接制御

 (2)のストレージの直接制御は,XenServerのハイパーバイザを介することなく直接ストレージ製品を制御できる機能だ。ストレージ製品が持つスナップショット機能などを仮想マシンや管理ツール「XenCenter」から利用できるほか,仮想マシンが稼働するサーバーのCPUに負荷をかけずに済む。

 前版のバージョン4.1の段階で,ストレージ大手の米NetApp製の製品に対応。今版では,米Dellの「Dell EqualLogic」ストレージとの連携機能を追加した。「2009年以降にさらにサポート製品を追加する予定」(竹内担当部長)だ。

仮想マシンの検索性が向上

 (3)の運用管理負担の軽減策としては,XenCenterで管理する仮想マシンや物理ストレージを検索する「XenSearch」を追加した。管理下にあるリソースにOS名やネットワーク名などのタグを付けで検索可能にすると同時に,検索用のクエリーをビューとして保存しておけるようにした。頻繁に参照する仮想マシン群を参照するクエリーを再利用できるようにすることで管理負担を軽減している。

 価格はサーバー単位のライセンスで,Standard Editionが17万6715円,HA機能を搭載するEnterprise Editionが58万9050円,HA機能に加えて仮想マシン配布などのプロビジョニング機能を持つPlatinum Editionが98万1750円。このほか物理CPUの搭載数を2に制限したExpress Editionを無償提供する。