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 WindowsサーバーやWindowsネットワークの運用を任されている管理者は,ユーザー・アカウントの登録や削除,サーバーの運用状況把握,アクセス権の設定といった日常的な作業から,何らかの異常が発生した場合のトラブル・シューティングまで,多岐にわたる作業をこなさなくてはなならない。こうした管理作業を,いかに素早く的確にこなせるかが管理者にとっては重要となる。

 そこで,Windowsサーバーを使ったネットワーク環境で広く普及しているActive Directoryを前提に,日常の運用管理の場面でよく発生する管理作業やトラブルについて,きちんと解決するための知識を備えているかを問う問題を出した。この問題は,日経BPソフトプレスが発行している「MCTSスキルチェック問題集70-640 Microsoft Windows Server 2008 Active Directory」から10問を抜粋した。

 平均点は100点満点で27.3点。Webサイトで受検した人の平均点(27.2点)と,ITpro EXPO展示会場で受検した人の平均点(28.1点)には目立った差がなかった。

【Windows管理者検定】の受検者数と平均点
  受検者数 平均点
Webサイトでの受検 623 27.2
展示会場での受検 63 28.1
総合 686 27.3

複数選択問題が超難関

 目についたのは,解答の選択形式による正答率のばらつきである。選択肢の中から単一に選ぶ問題では,いずれも高い正答率だった。正答率の高い順にあげると,問題9の59.5%,問題4の50.9%,問題8の48.0%,問題2の38.8%,問題5の27.3%,問題3の26.5%となる。

【Windows管理者検定】の正答率
問題 問題1 問題2 問題3 問題4 問題5
正答率(%) 8.6 38.8 26.5 50.9 27.3

問題 問題6 問題7 問題8 問題9 問題10
正答率(%) 9.0 1.9 48.0 59.5 2.2

 これに対し,選択肢の中から該当するものをすべて選ぶという形式の問題は,いずれも正答率が低かった。たとえば,問題1の正答率は8.6%,問題6の正答率は9.0%,問題7の正答率は1.9%,問題10の正答率は2.2%,と軒並み10%を割る正答率となった。やはり,正確に理解していないと正しい選択肢を過不足なく選ぶのが難しい,複数選択問題はかなりの難関だったようだ。

単一選択問題もちょっとひねると正解率は低下

 ここからは,正答率の低かったものを中心に詳しく見ていこう。単一選択問題の中でも正答率が低かったのは,問題5(27.3%)と問題3(26.5%)の2つである。いずれもA~Dの4つの選択肢から1つを選ぶ4者択一の問題だったことを考えると,当てずっぽうに答えた場合とほとんど変わらない正答率だったことになる。

 このうち,問題5は卒業したユーザーのアカウントを削除するために使用するコマンドを問う問題である。この正解は選択肢Aの「LDIFDE」。ユーザー・アカウントのようなActive Directoryで管理するオブジェクトを削除するときに使う一般的なコマンドはDsrmだ。ところが,このコマンドは今回の選択肢に含まれていなかったため,LDIFDEを使ってもアカウントを削除できるということ知っている人しか正解できない。間違った人が選んだのは残り3つの選択肢に片寄らず分散していたことを考えると,そもそもこのコマンドでアカウント削除できることを知らなかった人がほとんどだったのではないだろうか。ちょっと引っかけ的な問題であるが,LDIFDEを使ってアカウントを削除できることは覚えておいて損はない。

 もう一つの問題3は,自分のところではないリモートのサイトにあるドメイン・コントローラをログオン・サーバーとして使用しているトラブルの原因を問う問題である。この問題の正解は選択肢Cの「支社のIPアドレスの範囲がサイトに関連付けられていない」。そのほかの3つの選択肢,「支社のドメイン・コントローラがサイトに割り当てられていない」「支社のサイトがサイトリンクに割り当てられていない」と「支社のサブネットが2つのサイトに割り当てられている」は,いずれもActive Directoryではできない設定だ。しかし,間違った人の中には選択肢Aを選んだ人が46.1%と,正解のCを選んだ人よりも多かった。これは,もしかすると「支社のドメイン・コントローラが(支社の)サイトに割り当てられていない」と誤読したのかもしれない。