1960 年生まれ,独身フリー・プログラマの生態とは? 日経ソフトウエアの人気連載「フリー・プログラマの華麗な生活」からより抜きの記事をお送りします。2001年上旬の連載開始当初から,現在に至るまでの生活を振り返って,週1回のペースで公開していく予定です。プログラミングに興味がある人もない人も,フリー・プログラマを目指している人もそうでない人も,“華麗”とはほど遠い,フリー・プログラマの生活をちょっと覗いてみませんか。

 4月に入社した同業の皆さん,そろそろ1カ月になりますね。5月病の噂も聞こえてくる時期となりましたが,元気でお過ごしでしょうか。毎日のように,耳慣れない専門用語や意味不明な和製英語を聞かされて,うんざりしている方も少なからずいらっしゃると思います。そこで,今回はそういった用語の中でも,要注意のものを思いつくままピックアップして解説してみました。

SE

 システム・エンジニアの略。確かに「Systems Engineering」というジャンルは存在するのだが,英語圏では「システム・アナリスト」などと呼ぶことが多いので,実は和製英語ではないかという疑惑がある。一昔前までは,いわゆる建築でいうところの「普通の大工さん・職人さん」をプログラマ,それを仕切る親方や棟梁をシステム・エンジニアと呼びならわしていたようだ。ところが,右も左もわからない駆け出しのエンジニアに「システム・エンジニア」という肩書きをつけて人月単価をつり上げるという営業戦略が原因でインフレ化してしまい,最近では「システム・エンジニア」という肩書きを使いたがるのはむしろ,時代遅れで恥ずかしいという風潮さえある。

 ところで,棟梁と言えば,若い衆がてこずっているのを見かねて「ちょっと貸してみろ。カンナってのはな,こうやってかけるもんだ」などと実地でアドバイスして現場を引っ張っていくイメージが私にはあるのだが,あなたのまわりのSEはどうだろうか。もしかして「Linuxはわからん」などと胸を張っていたり,Javaのコードすら読めなかったりはしないだろうか…。

マニュアル

 言葉というのは,とても難しいものである。特に,コンピュータ関連のマニュアルの文章は,初めて目にする人にはとても日本語と思えないであろう。原因の一つは受動態にある。例えば,「ページが表示されました」はどう考えてもネイティブな日本語とは思えない。

 その昔,あるマニュアルを見ていたら「画面に表示されたボタンがクリックされると,不要なファイルが削除されてから,完了のメッセージが表示されます」と書いてあって面食らった。マニュアルを編集した人に意見をしたら,「『表示します』と書くと,主語は『コンピュータが』ということになるので,ユーザー様に失礼にあたる」とのことである。私はあぜんとしてそれ以上追及できなかった。しかし,つい最近知ったのだが,どうやら「油」は「酸化する」のではなくて「酸化される」のが化学的には正しいのだそうである。やはり言葉は難しい。てゆーか,ギャル語をあげつらうヒマがあるなら,そのへんをなんとかしてほしいってカンジ。

~殿

 身分の高い人に敬意を表すために,名前の後に付けて用いられたのは大昔のこと。現代では,ほぼ対等か目下の相手に対する敬称として使われることが多いようだ。したがって,大企業のSEが顧客に提出する資料に「○○殿」と書いてあるのは,「ほんとうはおれたちの方が社会的地位は上なんだぞ」という意識があるからにほかならない。たとえ大企業にいる間は許されたとしても,そこをスピンアウトして規模の小さい企業に移った人が,わけもわからずにそのまま「○○殿」と使っているのを見ると,「それでいいの?」と思ってしまう。ここはやはり普通に「○○様」と書くのが好印象であろう。