前回は,ミーティング計画の立案やアジェンダ作成など,会議前の準備について解説した。今回も,「半歩先を行って先手を打とう!」と題して,引き続きミーティングを効果的に進めるための準備について解説する。

 よく先手必勝と言うが,これはチーム運営についても同様である。半歩でも常に先に行っていれば,全体がうまく回りだす。半歩先を行くためには,「いかに先を読んで行動するか?」が重要になる。

 では早速,前回のケーススタディの続きから,スタートしよう。

 経営企画部長から,次期基幹システム再構築プロジェクトのリーダーに任命された情報システム室主任の山田さとし。山田を含めて7人のプロジェクト・メンバーが決まり,まずは,顔合わせのための「キックオフ・ミーティング」を開催することに。詳細なアジェンダを作成し,いよいよキックオフ・ミーティングの開催日がやってきた・・・

 午後1時半。チームメンバーが続々と情報システム室の第1会議室に入室し,思い思いの席についた(図1)。

図1●キックオフ・ミーティングの座席配置と着座位置
図1●キックオフ・ミーティングの座席配置と着座位置

 山田は7人全員がそろったのを確認後,自ら作成したアジェンダ(図2)に従って,予定通りキックオフ・ミーティングを開始した。

図2●山田が作成したアジェンダ
図2●山田が作成したアジェンダ [画像のクリックで拡大表示]

 アジェンダに書かれた第1の議題である「プロジェクトについての説明」を順調に終え,議題は「プロジェクトメンバー自己紹介」に入っていた。

山田:「それでは最後に,生産管理の鈴木主任の自己紹介をお願いします」

 山田は自分の対面に座っている鈴木に声をかけた。

鈴木:「生産管理の鈴木です。よろしくお願いします。私はチームリーダーの山田主任と同期入社で,生産管理の業務では製造部門の生産計画から製品の出荷計画や部品の発注計画まで1人で担当しています」

 最初は温厚に話していた鈴木だったが,山田に先導されて「アイスブレーク」として「最近気になっていること。今の気分・感じていること」を話し出すと,様子が変わってきた。会議を開始して2時間が経過し,少し窮屈な第1会議室は熱気を帯び始めた。

鈴木:「私が,職場の同僚や上司はもとより,サプライヤーからの信頼も厚いことはみなさんも認めていただいているかと思います。山田主任がチームリーダーをすることに異論はありませんが,私がチームリーダーをやったほうが,プロジェクトが成功する確率は高いと思います。なぜなら・・・」

 鈴木は,目の前に座っている山田に対して,やや強い口調で予定時間を超えて話し続けた。元々,山田と鈴木は同期ということもあり,鈴木が山田をライバル視していることは山田も以前から感じてはいた。

山田:「鈴木主任のご意見には賛否両論と思います。力不足で不慣れな部分も多々あると思いますが,私なりにチームを率いていけるよう精一杯がんばっていきたいと思います」

 目の前に座っている鈴木に対して,山田は感情を抑えて返答したが,最初の会議で,いきなり机を挟んだ二人の意見が対立することになってしまった。