ノートPC,デジタル・カメラ,携帯音楽プレーヤー――。

 登場した当時,だれもが驚き,技術の進歩に感嘆し,生活が変わると確信した製品があった。だれもが感じる確信は,時が過ぎるにつれて現実に変わる。製品が届けた革新は,当たり前に変わる。その製品がモノのあり方を根底から変えたことは,じょじょに忘れ去られる。

 本連載は,これらの世界を変えた製品を,再び見つめてみるものである。開発に直接携わった関係者を訪ねて,その製品が生まれた背景,実現した技術などを聞く。当時の事実を現在の視点から眺めることで,世の中を変えた技術と,技術者の本質を見ていきたい。

 この視点で見ると,電球,自動車など,現在の世界は革新的な製品に満ちあふれている。本連載では,我々の記憶がいくらか残っている,1990年から2000年ごろの日本の製品に注目していきたい。

第1回 「パソコンを持って歩きたい」を実現した名機 
第2回 約100万台売れた,コンパクトなデジカメ 
第3回 街にすっかり溶け込んだ,バイクでも自転車でもない乗り物