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第1回 「パソコンを持って歩きたい」を実現した名機
ノートPC,デジタル・カメラ,携帯音楽プレーヤー――。 登場した当時,だれもが驚き,技術の進歩に感嘆し,生活が変わると確信した製品があった。だれもが感じる確信は,時が過ぎるにつれて現実に変わる。製品が届けた革新は,当たり前に変わる。その製品がモノのあり方を根底から変えたことは,じょじょに忘れ去られる。 本連載は,これらの世界を変えた製品を,再び見つめてみるものである。開発に直接携わった関係者を訪ねて,その製品が生まれた背景,実現した技術などを聞く。当時の事実を現在の視点から眺めることで,世の中を変えた技術と,技術者の本質を見ていきたい。 この視点で見ると,電球,自動車など,現在の世界は革新的な製品に満ちあふれている。本連載では,我々の記憶がいくらか残っている,1990年から2000年ごろの日本の製品に注目していきたい。 持ち運べるWindows PC会議室で,喫茶店で,空港で。ノートPCを見ない日はない。デスクトップのPCと同じWindowsが動作するマシンを持ち歩いている。この光景を当たり前にした製品を探した。すると,明らかにこの世界を狙って世に出た製品があった。Libretto 20である(写真1)。
Libretto 20は「オフィスのPC環境を外に持ち出す」というコンセプトのもと,世界最小・最軽量のWindowsマシンとしてデザインされた。サイズはVHSカセットとほぼ同等。重さは標準バッテリ込みで840グラムである。当時最新のパソコン向けOSだったWindows 95が,この大きさ,重さの中で,きちんと動作する。 CPUはインテルDX4相当,75MHzで,メモリーは8Mバイトで20Mバイトまで増設可能。ハードディスクは270Mバイト。ディスプレイはVGA表示の6.1インチ。現在では想像できない低スペックではあるが,Windows 95がきちんと動いた。 1996年4月17日,本製品は発表された。オフィス・ソフトのMS-Works Ver4.0や,経路探索ソフトの駅すぱあと'96,英和辞典などのアプリケーションをプリインストールしたCTAモデルが19万8000円(税別)。OSのみのモデルが17万8000円(税別)である。 本製品の開発者は,現在も東芝に勤務していた。東京都青梅市にある東芝 青梅事業所を訪ねた(写真2)。
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