組み込み機器向けソフトウエアの規模が指数関数的に増えている。ハードウエアの開発工数を上回るケースも少なくない。特に携帯電話機では,ハードウエア開発の10倍近くをソフトウエア開発に要する。これまでは,家内手工業的な手法によって自転車操業的にソフトウエアを開発することがほとんどだったが,最近はソフトウエア開発に対する意識改革が進み始めた。ソフトウエア規模の増大に対応すべく,先進的なソフトウエア開発方法論を取り入れる先進企業が現れている。「ケータイ」「デジタル家電」「クルマ」などの先進事例を取り上げながら,上流設計から下流のテスト・検証工程に至るまで,組み込みソフトウエア開発の現状を浮き彫りにする。「プラットフォーム型開発」「オープンソース」,「オフショア開発」「モデル・ベース開発」「テスト」そして「理工系離れ」などをキーワードに,パネリストが各現場の工夫点を紹介すると同時に,今後のソフトウエア開発のあり方を展望する。

パネリスト
杉村 領一 氏
エスティーモ副社長 (前,パナソニック モバイルコミュニケーションズ 技術部門 モバイルシステム開発センター 所長)

小泉 忍 氏
日立製作所 モノづくり技術事業部 組込みシステム改革戦略センタ 主管技師

村山 浩之 氏
デンソー 電子機器事業グループ 電子PF開発室 室長

モデレータ:浅見直樹(ITpro発行人)

目次

●第1回:古くて新しい問題,それがソフト危機
●第2回:プラットフォーム型の水平分業に活路
●第3回:オフショアへ,この流れは逆らえない
●第4回:モデル・ベース開発を積極採用へ


(注)
本記事は,2006年11月17日に,組み込み機器の展示会「ET2006」の会場において開催されたパネル討論会「ソフトウエアものづくり論」の内容をまとめたものである。