概要  
指定されたNTPサーバーに対し時刻を問い合わせ,教えてもらった時間をローカル・ホストに設定する。Linuxで時刻を合わせるには,NTPデーモン(ntpd)を常駐させて定期的に時刻を合わせるという方法もあるが,セキュリティ・ホールとなる可能性がある常駐プロセスをできるだけ少なくしたい場合や,任意のタイミングで手動で時刻合わせをしたい場合などに有効である。

ntpdateコマンドによる時刻の合わせ方には,stepモードとslewモードの2種類がある。stepモードは教えてもらった時間にすぐに合わせるというもので,slewモードはシステムの時間の進み方を遅くして時間を合わせるというものである。stepモードとslewモードのどちらを使うかは,-bまたは-Bオプションを指定すれば使い分けられる。どちらのオプションも指定しなかった場合は,時刻のずれが128m秒以内ならslewモードで,それよりも大きな場合はstepモードで時刻を合わせる。


 構文  
ntpdate [-b|-B|-d|-q|-s|u|-v] [-a 鍵識別子] [-e 認証遅延] [-k 鍵ファイル] [-o NTPバージョン] [-p サンプル取得数] [-U ユーザー名] [-t タイムアウト値] 対象NTPサーバー [ ... ]

 利用環境  
Red Hat Enterprise Linux ○ (ntp-4.2.0.a.20040617-4で動作を確認)

 オプション 
-b時刻ずれの大きさにかかわらず強制的にstepモードで時刻を合わせる。
-B時刻ずれの大きさにかかわらず強制的にslewモードで時刻を合わせる。
-dデバッグ・モードで動作させる。このオプションを使うと全ての処理ステップを実行するが,実際にローカル・ホストの時刻は変更しない。
-q対象NTPサーバーへ時刻の問い合わせのみを行う。ローカル・ホストの時刻を実際に変更はしない。
-s実行結果をsyslogに出力する。
-uパケットを非特権モードで出力する。
-vNTPバージョンと対象NTPサーバーとの誤差情報を表示する。時刻合わせも同時に実行する。
-a 鍵識別子認証機能を有効にする。認証に用いる鍵識別子(鍵ファイルに書かれたキーID)を指定する。
-e 認証遅延ローカル・ホストがNTP暗号化フィールドの計算に必要な時間を秒単位(小数可)で指定する。
-k 鍵ファイル認証鍵ファイルのパスを指定する。デフォルトは/etc/ntp.keys。
-o NTPバージョン送信パケットのNTPバージョンを1から4の整数値で指定する。省略時の値は3。
-p サンプル取得数対象NTPサーバーから取得する時刻サンプル数を1から8の整数値で指定する。省略時の値は4。
-U ユーザー名コマンドを指定したユーザーで実行する。
-t タイムアウト値対象NTPサーバーへの接続タイムアウト値を秒単位(小数可)で指定する。
対象NTPサーバー [ ... ]対象NTPサーバーをホスト名もしくはIPアドレスで指定する。複数サーバを指定する場合はスペースで区切る。なお通常,対象NTPサーバーは,ローカル・ホストが利用しているプロバイダが提供するNTPサーバやNICT(独立行政法人 情報通信研究機構)が運営するNTPサーバー(ntp.nict.jp)を用いることが推奨されている。


 使用例:ホストの時刻を合わせる(クリックで詳細表示)  
ntpdate NTPサーバー