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Winny著作権法違反幇助事件の判決(1)
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被告人は,送受信用プログラムの機能を有するファイル共有ソフトWinnyを制作し,その改良を重ねながら,自己の開設した「Winny Web Site」及び「Winny2 Web Site」と称するホームページで継続して公開及び配布をしていたものであるが, 第1 甲が,法定の除外事由なく,かつ,著作権者の許諾を受けないで,…<中略:ここでは正犯甲の行為が書かれている(筆者注)>…上記各著作権者が有する著作物の公衆送信権を侵害して著作権法違反の犯行を行った際,これに先立ち,同月3日ころ,Winnyが不特定多数者によって著作権者が有する著作物の公衆送信権を侵害する情報の送受信に広く利用されている状況にあることを認識しながら,その状況を認容し,あえてWinnyの最新版である「Winny2.0 β 6.47」を被告人方から前記「Winny2 Web Site」と称するホームページ上に公開して不特定多数者が入手できる状態にした上,同日ころ,上記甲方において,同人にこれをダウンロードさせて提供し, 第2 <前略:正犯乙の行為が第1と異なるが基本的な内容は同じ(筆者注)>もって,それぞれ前記甲及び乙の前記各犯行を容易ならしめてこれを幇助したものである。 |
この「罪となるべき事実」で確認したいところは,当たり前ですが,ソフトウエアを開発したこと自体は罪に問われているわけではないということです。ともすると,「ソフトウエアの開発」が幇助として罪に問われたという形で議論されていることもあるのですが,そうではありません。
判決文における「罪となるべき事実」とは,あくまでも「Winnyが不特定多数者によって著作権者が有する著作物の公衆送信権を侵害する情報の送受信に広く利用されている状況にあることを認識しながら,その状況を認容し,あえてWinnyの最新版」を公開し,ダウンロードできるようにしたことです。
つまり,金子氏はWinnyが著作権法違反のコンテンツの送受信に利用されている状況にあることを認識・認容(注3)していた。にもかかわらず,「Winny2.0 β 6.47」(以下,「Winny2」)を新たに公開したことが罪に問われているのです。Winnyを開発したこと自体,あるいは,開発当初ダウンロード可能な状況にしていたこと自体は罪に問われていないということです。
ただ,罪となるべき事実を見ただけでは,具体的にどのような行為が幇助にあたるとされたのか,よく分かりません。次回は,本判決で裁判所がどのような具体的事実を認定し,幇助行為が認められると判断したのかを検討したいと思います。
(注1)平成18年12月23日京都地裁判決 判例タイムズ1229号105頁以下
(注2)検察側も,弁護側もそれぞれ控訴しています
(注3)「認容」という言葉は法的な意味合いがあるので,その意味内容については,次回以降で解説したいと思います
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■北岡 弘章 (きたおか ひろあき)【略歴】 弁護士・弁理士。同志社大学法学部卒業,1997年弁護士登録,2004年弁理士登録。大阪弁護士会所属。企業法務,特にIT・知的財産権といった情報法に関連する業務を行う。最近では個人情報保護,プライバシーマーク取得のためのコンサルティング,営業秘密管理に関連する相談業務や,産学連携,技術系ベンチャーの支援も行っている。 2001〜2002年,堺市情報システムセキュリティ懇話会委員,2006年より大阪デジタルコンテンツビジネス創出協議会アドバイザー,情報ネットワーク法学会情報法研究部会「個人情報保護法研究会」所属。 【著書】 「漏洩事件Q&Aに学ぶ 個人情報保護と対策 改訂版」(日経BP社),「人事部のための個人情報保護法」共著(労務行政研究所),「SEのための法律入門」(日経BP社)など。 【ホームページ】 事務所のホームページ(http://www.i-law.jp/)の他に,ブログの「情報法考現学」(http://blog.i-law.jp/)も執筆中。 |