これまでに掲載した記事の一覧

 新会社法,個人情報保護法など新しい法律が相次いで施行されています。このコラムでは,様々な法律の解釈とともに,これらの法律が企業にもたらすリスクを解説していきます。

特定電子メール法の改正
[1]オプトイン方式による規制を導入
[2]オプトイン方式で送信者に義務付けられた運用ルール
[3]情報提供を求める規定や罰則の強化で実効性を高める

日本版フェアユース規定の導入
[1]現行の著作権法では技術の進展に追随できない
[2]判例で拡大される米国著作権法における適用範囲
[3]英国のフェアディーリングによる権利制限規定
[4]権利者側はフリーユース正当化と負担増大を警戒
ヤフーオークションサイトの損害賠償訴訟
[1]場の提供者に一定の注意義務を認める
[2]具体的な注意義務を費用対効果で判断
デジタルコンテンツと肖像権・パブリシティ権
(1)ネットのコンテンツ・サービスで避けて通れない
(2)保護範囲が明確でない“物”のパブリシティ権
(3)法律に明記されていないパブリシティ権の保護期間
ネット法
(1)許諾権者の一本化でデジタル・コンテンツの流通促進を狙う
(2)権利制限は著作権保護の流れに逆行するとの批判も
(3)コンテンツの公正利用認めるフェア・ユース規定の導入を提唱
(4)コンテンツ流通促進の法改正提唱で期待される議論の深まり
住基ネット最高裁判決
(1)自己情報コントロール権には言及せず
(2)自己情報コントロール権の弊害を考慮
(3)住基法を優先,目的外利用禁止の実効性を認める
SaaS/ASPのセキュリティ
(1)総務省報告書が指摘するサービス提供者の問題点
(2)利用者にとっての“分かりやすさ”目指したSLAガイドライン
アウトソーシングとセキュリティ対応
(1)情報の性質を踏まえた委託先管理や契約が必要
(2)ガイドライン改正内容から委託先管理の問題点を検討する
(3)リスク管理ツールとしての契約書作成の留意点
平成19年度著作権法改正の動向
(1)消極的過ぎる「デジタルコンテンツ流通促進法制」へのスタンス
(2)親告罪の範囲見直しは「慎重に検討する」
(3)現行法で回避できない検索エンジンの法的リスク
(4)権利制限規定で検索エンジンの法的リスク回避を検討
(5)著作権ライセンス登録制度でライセンシーの保護を検討
TBC情報漏えい事件高裁判決
(1)プライバシー情報の流出で相対的に高めの賠償認容額に
(2)実質的な指揮・監督関係に基づき使用者責任を認定
(3)二次被害と要保護性の高さが慰謝料に反映
「情報通信法(仮)」とは?
(1)放送類似コンテンツは放送規制の枠組みが妥当
(2)批判招いたメディアサービスの曖昧さ
イメージシティ事件判決
(1)判決文に向けられた様々な批判
(2)争点は複製行為と自動公衆送信の主体
(3)オーソドックスな判決だが適用範囲には疑問も
Winny著作権法違反幇助事件の判決
(1)ソフトウエアの開発自体は罪に問われていない
(2)裁判所が認定している客観的事実
(3)著作権法違反幇助と技術的検証は両立すると判断
(4)あいまいさ許容せざるを得ない幇助犯の成立条件
(5)捜査を困難にする「もの」は問題視される
放送と通信の融合
(1)ネット配信には著作隣接権者の許諾も必要
(2)同時再送信で実演家の許諾が不要となる条件
(3)融合を阻む放送局の収益モデル
動画共有配信サービスと法的問題
(1)YouTubeに見る著作権侵害免責への取り組み
(2)プロバイダ責任制限法の適用は実態で判断される
(3)問われる違法コンテンツ排除の仕組み
画面デザインの保護
(1)著作権だけで保護できる範囲は広くない
(2)特許権は新規性・進歩性のあるアイデアを保護する
(3)意匠権による保護ではパソコン用ソフトは対象外
(4)著作権,特許権,意匠権による保護を比較する
偽装請負
(1)請負と派遣の違いは指揮命令系統
(2)厚生労働省の基準で請負と派遣の違いを整理
(3)偽装請負の解消には2つの方向がある
(4)偽装「請負」の請負には「委任」も含まれる
ITサービスと下請法
(1)2003年法改正で適用対象をIT関連に拡大
(2)下請法の対象となる取引類型について
(3)下請法が適用された親事業者の義務
(4)下請法が適用された親事業者の禁止事項
機密情報管理としての従業員管理
(1)従業員からの誓約書にまつわる問題点
(2)私有パソコンと在宅業務による情報漏えい問題
(3)メールやWebの私的利用に関する問題
(4)メール私的利用のモニタリングにおける注意点
SMBが抱える情報セキュリティの法的リスク
(1)個人情報保護法による情報漏えいへの制裁
(2)営業秘密などの「情報財産」を保護する
(3)営業秘密の不正取得も刑事罰の対象になる
(4)不正確な個人情報には損賠賠償のおそれも
(5)内部統制の法制化で要求される情報の正確性
中小企業における新会社法の影響
(1)有限会社は特例有限会社か株式会社のいずれかを選択
(2)会社形態や制度設計の柔軟化に意義
新会社法と合同会社(LLC)
(1)有限会社をなくし法律を現状に近づける
(2)LLCは株式会社やLLPとどこが違う?
有限責任事業組合(日本版LLP)
(1)中堅中小企業にも利用価値のある制度
(2)ITベンチャーが大手企業と共同研究開発を行うケースを想定する

「知っておきたいIT法律入門」以前の掲載記事

腕試し! SEのための法律入門(1)ソフトウエア開発契約に関するクイズ
腕試し! SEのための法律入門(2)知的財産権に関するクイズ
腕試し! SEのための法律入門(3)アウトソーシングなど他社との関係で必要になる法律に関するクイズ

■北岡 弘章 (きたおか ひろあき)

【略歴】
 弁護士・弁理士。同志社大学法学部卒業,1997年弁護士登録,2004年弁理士登録。大阪弁護士会所属。企業法務,特にIT・知的財産権といった情報法に関連する業務を行う。最近では個人情報保護,プライバシーマーク取得のためのコンサルティング,営業秘密管理に関連する相談業務や,産学連携,技術系ベンチャーの支援も行っている。
 2001~2002年,堺市情報システムセキュリティ懇話会委員,2002年から現在まで,発明協会産学連携経営等支援事業に係る専門家,情報ネットワーク法学会情報法研究部会「個人情報保護法研究会」所属。

【著書】
 「漏洩事件Q&Aに学ぶ 個人情報保護と対策 改訂版」(日経BP社),「人事部のための個人情報保護法」共著(労務行政研究所),「SEのための法律入門」(日経BP社)など。

【ホームページ】
 事務所のホームページ(http://www.ne.jp/asahi/lawyer/kitaoka/)の他に,ブログの「情報法考現学」(http://blog.i-law.jp/)も執筆中。