Skype共同設立者のNiklas Zennstrom氏とJanus Friis氏による新プロジェクトの詳細が明らかになってきた。それは，仮称「The Venice Project」と呼ばれていた映像コンテンツのネット配信サービス（関連記事）。同プロジェクトはこれまでその活動内容についてあまり公にしてこなかったが，この1月16日，正式名を「Joost」と発表。同名ドメインのWebサイトも立ち上げ，これまでの経緯などを明らかにした。
Niklas Zennstrom氏とJanus Friis氏は，ファイル共有サービスのKaZaAを開発した人物。両氏がその次に放ったのが通信市場を変えたとも言えるインターネット電話のSkype。そして両氏の第3弾がこのJoostとなる。今，ユーザーや業界関係者から熱い視線が注がれている。
今回は同社サイトに掲載された新情報や，海外メディアのインタビュー記事などを拾いながらこのJoostについてレポートする。
すでにWarner Musicと提携
Joostは，ピア・ツー・ピア（PtoP）技術をベースとしたプラットフォームを利用するサービスである。コンテンツの配信形態はファイル交換やダウンロード配布ではなく，ストリーミングとなる。クライアント・ソフトを無償提供し，ユーザーはそれをパソコンにインストールして使う。画面上にさまざまなチャンネルや検索機能を用意するなど使い勝手をよくし，これまでにない新しいテレビ視聴の形を提供するという。Joostはまだベータ・サービスという段階である。本サービスの開始は2007年中を見込むとのことだが，詳しい時期については明らかにしていない。現在のところパソコンで視聴するサービスに限定されているが，将来的にはテレビや携帯端末向けも視野に入れているという。
Joostが提供する映像コンテンツは，テレビ番組やネット配信向けにプロダクションなどが制作したコンテンツ。ジャンルは，そうしたコンテンツ・ホルダーが権利を持つドラマやコメディ，音楽，スポーツといったものになる。
Associated Press（AP）が伝えるところによると，JoostでCEOを務めるFredrik de Wahl氏は，Warner Music／September Films／Endemolといった企業と契約を結んでいることを明らかにした。また今後Joostが成長するにつれ，コンテンツ・ホルダーとの契約を増やし，サービスの拡充を図りたいという。
コメントやチャットも可能な双方向サービス
Joostの特徴は，インタラクティブなユーザー・インタフェースやサービス内容にあるという。DVD品質の映像を「Web 2.0の自由度，制御性，柔軟性を用いて強化された，テレビと同じように楽しめる，特別な視聴体験をユーザーに提供する」（Joost）としている。具体的な機能としては，「お気に入りの"My Channels"などを設定できるチャンネル・メニュー」，「番組の検索，一時停止，早送り，巻き戻しなどを行うコントロール・バー」，「映像のプレイリストやコメント，評価などをほかのユーザーと共有するツール」などがある。チャット機能も備えており，同じコンテンツを視聴しているユーザー同士でコミュニケーションがとれる。また同社はJoostのAPIも公開する。これにより独自機能を持つ自由な発想のプラグインが続々登場してくると期待している。
なおJoostは2006年12月からベータ・テストの参加希望者にクライアント・ソフトを提供している。2006年12月時点の参加者は6000人で，その数は日々増え続けているという。そのため今から参加するには，同社のサイトでサインアップしてウェイティング・リストに登録するか，すでに参加している人から招待を受ける必要がある。順番待ちが大変多いようで，まだまだ誰もが気軽に試せるサービスとは言えないという状況である。またクライアント・ソフトは今のところWindows版のみを提供している。Intel Mac版やLinux版も提供するというが，これらは今開発段階にあるという（同社FAQページ）。
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写真1●映像コンテンツを操作するためのアイコンやコントロール・バーを表示 [画像のクリックで拡大表示] |
写真2●お気に入りのチャンネルを設定できる「My Channels」 [画像のクリックで拡大表示] |
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写真3●画面中央にアーティスト情報。Warner Bros.のロゴが表示されている [画像のクリックで拡大表示] |
写真4●画面左にインスタント・メッセージングが利用できるプラグイン・メニューを表示している [画像のクリックで拡大表示] |
