米バーニアーネットワークスでチャネルおよびビジネス開発担当副社長を務めるエリック・コラード氏
米バーニアーネットワークスでチャネルおよびビジネス開発担当副社長を務めるエリック・コラード氏
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 検疫ネットワーク製品を開発・販売する米バーニアーネットワークスは,検疫ネットワーク・アプライアンス「Edgewallシリーズ」を,販売代理店である兼松エレクトロニクスを通じて販売している。同シリーズは,全世界で1000以上のユーザーが導入済みだという。最近では最大40Gビット/秒のスループットと最大4000のユーザー・サイトと接続可能なハイエンドモデル「EdgeWall 8800」を市場に投入した。企業の検疫ネットワーク導入状況などについて,バーニアーネットワークスのチャネルおよびビジネス開発担当のエリック・コラード副社長に話を聞いた。(聞き手は中井 奨=日経コミュニケーション

--検疫ネットワークはこれまで企業でなかなか導入が進まなかった経緯があるが,現状はどうか。

 当社の検疫ネットワーク製品は,500~1000人規模の企業に導入されている。ユーザー企業の業種は,教育,医療関係,研究機関などさまざまだ。最近2年間は,ハイテクやテレコム,医薬品などのユーザー企業も増えた。日本では4年間販売しており,大学や病院やテレコムなど85社以上が導入している。

 約2年前,企業は検疫ネットワークに対して予算を計上すらしていなかった。ところが最近の市場調査によると,約45%が検疫ネットワークを1年以内に導入したいと考えているという。つまり,企業は検疫ネットワーク導入を本格的に予算化するようになってきたわけだ。検疫ネットワークは,まさに旬のマーケットになっている。

--企業の間で検疫ネットワークの需要が高まっている理由は。

 それは次のようなことが挙げられる。一つはアイデンティティ管理のため。企業内で使用されているパソコンは,社員以外にもさまざまな人が使用する可能性がある。これに対して適切なアクセスを認めたり,アクセス可能な範囲を限定することが重要になっている。

 もう一つは,ウイルスやワーム,スパイウエア対策だ。かつては外部からネットワーク経由で侵入することが多かったが,最近ではウイルスなどに感染したパソコンを社内に持ち込んだために社内に拡散するケースが増えている。万が一ウイルスなどに感染したパソコンが社内に持ち込まれても,社内に拡散させないような仕組みを構築することが必要になっている。

 日本版SOX法の対応も,検疫ネットワークの需要を高める要因となっている。企業は検疫ネットワークのようなシステムを導入することによって,対外的にコンプライアンス強化を徹底していることを示す必要がある。

--企業は検疫ネットワークでどのようなソリューションを求めているのか。

 検疫ネットワークのソリューションは,ウイルスなどに感染した外部の端末が社内に入ってきた時点で,いかにして内部に拡散するのを防ぐかが大切なポイントとなる。

 具体的なソリューションとしては,クライアント端末がネットワークに接続する前に接続可能な端末かどうかをチェックするタイプが考えられる。しかし,このタイプだと会社から配布されたウイルス対策ソフトをインストールしていても,万が一エンドユーザーがウイルス対策ソフトの機能をオフにしていた場合に,端末がウイルスなどを防御できなくなる。よりセキュリティ・レベルを高めるには,ネットワークの内側でクライアント端末からのトラフィックをチェックするように設定できるソリューションが求められるだろう。

--マイクロソフトの新OS「Windows Vista」にも検疫機能は搭載されている。

 クライアント端末にエージェント・ソフトをインストールするタイプの検疫ネットワーク・システムは,Windows Vistaが搭載されたパソコンだとそこにさらにエージェントを入れるのは無駄になる。

 しかし,当社の検疫ネットワーク・アプライアンス製品の場合はエージェントをクライアント側にインストールする必要はない。クライアント本体のセキュリティ対策はWindows Vistaの検疫機能に任せて,ネットワーク内のアプライアンスはOSと連携を取りながらネットワークのセキュリティを守る。当社のアプライアンス製品とWindows Vistaとは,補完し合う関係になるだろう。