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インタビュー

日経コミュニケーション

携帯電話に「本当の定額」を

信州大学講師
平宮康広氏

2006/11/08
信州大学講師の平宮康広氏
信州大学講師の平宮康広氏
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 携帯電話の世界にも固定インターネットのような定額モデルを持ち込むべき――。こう語るのは,固定ブロードバンドに価格破壊をもたらした「Yahoo! BB」サービスの土台を作った信州大学講師の平宮康広氏だ。同氏は,無線LANを使った新しい通信事業者のあり方を提言している。(聞き手は中道 理日経コミュニケーション

――ソフトバンクモバイルの予想外割にがっかりしたとか。

 電話もインターネットもどこにつないでもすべて定額の世界を期待していたが,そうはならなかった。予想外割の通話料定額は,同社のユーザー同士しかできない。しかも,さまざまな条件が付く。

――しかし,携帯電話単体ならWeb閲覧が定額になるプランもある。

 確かにある。しかし料金は高く,誰もが使えるようなものではない。そもそも,画像や動画と比べれば,音声のデータ量は非常に小さい。それなのに音声は定額になっていない。これはおかしい。現在の回線交換ネットワークを脱却し,データだけでなく通話も定額にすべきだろう。

――通話も定額にしてしまうと携帯電話事業者の収益基盤を壊すことになる。そう考えれば,携帯電話事業者が自ら音声の定額にするとは思えない。

 だから携帯電話会社と全く違うネットワークとシステムを使う通信事業者が登場することを期待している。今,有望なのは無線LANとピア・ツー・ピア型のIP電話を使ったシステムだ。無線LANなら今すぐにでも始められる。しかも,802.11aを使って屋外サービスを提供している事業者はいない。11aの周波数を使ってサービスを提供すればいい。

――無線LANのアクセス・ポイントがカバーできるエリアは狭い。携帯電話に対抗するためには全国津々浦々にサービスを提供する必要があるはずだ。さらに,携帯電話のような高速移動には対応する必要もある。

 過渡的にMVNO(仮想移動体サービス事業者)の形態で携帯電話事業者から携帯電話網を借りる必要があるだろう。W-CDMAやCDMA2000と無線LANのデュアル端末を用意してサービスを提供するわけだ。電話番号も「050」などを割り当てればよいのではないか。

 高速移動への対応では,アクセス・ポイントのつなぎ直し(ハンドオフ)にはそれほど時間がかからない。問題は,サブネットを越えてIPアドレスが変わる際にTCPセッションが切れてしまう点だ。この問題を回避するためにさまざまな手法が考えられているが,どれも複雑すぎる。いっそのことTCP/IPではないモビリティ専用のプロトコルを作ればいいと考えている。TCP/IPとモビリティ専用プロトコルのデュアル・スタックにすれば問題は生じない。

――モビリティを担保した公衆無線LANにはこれまでいくつかの企業が参入を計画し,失敗してきた。

 確かに,ビジネスとして難しい部分は多い。だからといって,今の携帯電話に任せておいても世界は変わらない。無線LAN携帯電話ビジネスを成功させるためには,事業者が小さなコストで容易にアクセス・ポイントを設置できる環境を用意する必要がある。無線LANでインターネット接続サービスを提供するためには,とにかくアクセス・ポイントを大量に設置しなければならないからだ。今より安価に,どこでも接続できるダーク・ファイバが,大量に必要になる。

 ところが,今はNTTが光ファイバを独占している状態。貸し出しを断られるケースも多い。総務省の「IP化の進展に対応した競争ルールのあり方」を見る限り,2010年までは何も動きそうにない。民間が知恵を出し合い,力を結集してダーク・ファイバを提供する0種(ゼロ種)事業者を立ち上げるしか道はないと思っている。これなくして携帯電話の定額はない。

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