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YouTube買収が浮き彫りにした「Googleのスプロール現象」

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 前回のコラムでは,ここ最近のYouTubeの取り組みについてレポートした。それからわずか一週間,そのYouTubeを巡って業界を大きく揺るがす出来事が起きた。米Googleによる買収である。

 米国時間10月6日金曜日,「米GoogleがYouTube買収で交渉中」といううわさがネットで流れ,週末には,The Wall Street JournalやThe New York Timesといった大手メディアが「関係筋の話」として,この交渉について伝えた(New York Timesの記事)。この時点では,「協議は微妙な段階で,決裂する可能性もある」と伝えられていた。

 しかし,うわさが流れてからわずか数日,協議は急展開で進んだ。週明けの9日月曜日,GoogleはYouTubeの買収を正式発表して,皆をあっと驚かせた(関連記事)。

 買収総額は16億5000万ドルで,ネット業界としてはここ最近なかった大型買収である。YouTubeが注目を浴びている企業ということもあり,国内外のメディアがさまざまな報道をしている。そうした記事のなかで筆者は,The New York Times紙10日付けの記事「Adding On to the House of Google」に興味を持った。この記事では,今回のYouTube買収に関連して,Googleが抱えている問題点を指摘している。そこで本稿では,Googleによる買収劇を解説するとともに,この記事を読み解きたい。

異例づくしの買収劇

 今回の買収の背景について簡単に触れておく。YouTubeは本サービスの開始からまだ1年にも満たない,従業員数わずか70人ほどの小さな企業だが,ビデオ共有サービスの市場で圧倒的なシェアを誇っている(詳しくは本コラムの関連記事1関連記事2を参照されたい)。

 米メディアの表現を借りれば「(YouTubeとは)ビデオ共有という現象であり,Web 2.0という言葉で知られるインターネット復活時代の寵児」(New York Timesの記事)。一方で著作権侵害問題など多くの課題も抱える。そんなYouTubeとGoogleとの連合が誕生することで,業界に大きな異変が起こるのではないか――。今,そんな期待と不安が広がっている。

 YouTubeの買収はGoogleにとって新たな展開となる。同社はこれまで数々の買収を繰り返してきたが,いずれも比較的小さなものだった。それぞれの買収金額は1億ドルに満たず,多くは,創業者を含めた数人のスタッフがGoogleの事業部門に移籍するという形をとってきた。自社の技術開発力をベースに,取得した技術と能力を融合し新たなGoogleサービスを生み出してきたのだ(表1)。

 しかし今回は,YouTubeを独立したブランドとして存続させ,カリフォルニア州サンブルーノに置かれたYouTubeの拠点も維持する。今までにはあまりなかった対応だ。また,買収額も桁違いだった。Googleの昨年1年間の研究開発費が4億8400万ドル,米Newsが米MySpace.com(関連記事)を買収した際の金額が5億8000万ドルだったのを見れば,いかに巨額かが分かる。Googleにとっても業界にとっても異例づくしの買収劇だった。

年月買収した企業・事業・技術Googleでのサービス/機能
2006年
10月
YouTube/ビデオ共有サービス
8月Neven Vision/画像処理による生体/写真認識Picasa
3月@Last Software/3Dデザイン・ソフトGoogle SketchUp
3月Upstartle/“Ajaxワープロ”のWritelyGoogle Docs & SpreadSheets
2月Adaptive Pathのブログ分析サービス事業Blogger
1月dMarc Broadcasting/ラジオ放送向け広告Google AdWords
1月Reqwireless/携帯電話向けWebブラウザモバイル版Gmailなど
2005年
12月
(AOLに10億ドル出資,AOL株の5%取得,検索広告で提携)
9月Transformic/検索エンジン・クローリング技術Google Searchなど
8月Android/携帯電話向けソフトモバイル向け各種サービス
7月Akwan Information Technologies/検索エンジン技術Google Searchなど
5月dodgeball.com/携帯電話向けSNSソフトOrkut
5月Urchin/Web解析サービスGoogle Analytics
2004年
12月
Where 2 Technologies/マッピング技術Google Maps
10月Zipdash/モバイル向け道路交通情報モバイル向け各種サービス
10月Keyhole/マッピング技術Google Earth
8月(Google,NASDAQに上場)
7月Picasa/写真共有ソフトPicasa
2003年
9月
Acquires Kaltix/パソナライズ/コンテキスト検索Google Search
4月Applied Semantic/検索と広告技術AdSense
2月Pyra Labs/ブログ・サービスBlogger
2001年
9月
Outrideの検索技術/セマンテック解析技術などPersonalized Search
2月Deja.comのUsenet Discussion ServiceGoogle Groups
表1 Googleが買収した企業・事業・技術

次ページ  続々増えるサービスにユーザーは混乱  

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(小久保 重信=ニューズフロント)  [2006/10/16]





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