テルストラ・グローバル・ビジネス・アジアのパイタリディス・リージョナルディレクタ
テルストラ・グローバル・ビジネス・アジアのパイタリディス・リージョナルディレクタ
[画像のクリックで拡大表示]

 オーストラリア最大の通信事業者テルストラ日本法人,テルストラ・ジャパンがVPLS(virtual private LAN service)技術を使った国際イーサネット・サービスを開始してから1年が経過した。国際イーサネット・サービスは,NTTコミュニケーションズ(NTTコム)やKDDIも強化しており,競争が激しくなっている。テルストラ・グローバル・ビジネス・アジアのリージョナルディレクタのジョン・パイタリディス氏に同社の国際イーサネット・サービスの強みや日本でのビジネス展開について聞いた。(聞き手は中井 奨=日経コミュニケーション

──テルストラの国際イーサネット・サービスの特徴は。

 国際専用線やフレーム・リレーでは対応できない2Mビット/秒から45Mビット/秒の間でサービスを提供している。ユーザーは1Mビット/秒ごとで必要な帯域を選択・拡張できるので,コストに見合った投資が可能だ。また,ユーザーのLANとサービス・プロバイダのネットワークを明確に分けることもできる。

──サービス提供地域を拡大したのは。

 メトロ・イーサネットを導入する国が増えており,ユーザー企業からさらに多くの国のメトロ・イーサネットと接続したいという要望に応えるだ。これまでの日本,香港,中国,シンガポール,台湾に加えて,2006年9月から米国,英国,インドネシア,オーストラリア,韓国,ニュージーランド,フィリピン,マレーシアの8カ国にサービス提供地域を拡大した。これで計13カ国・地域となった。

──日本におけるビジネスの状況はどうか。

 主に多国籍企業を対象にサービスを提供している。例えば,オリンパスも当社のサービスを利用している。オリンパスの場合,IP-VPNで二重化していたアクセス回線のうちの一つを,当社の国際イーサネット・サービスに切り換えて通信コストを45%も削減できた。オリンパス以外にも,社名は言えないが多くの顧客を獲得している。

 今後は,QoS(quality of service)を確保するサービスの提供も検討している。日本からの売り上げはアジア全体の10%程度だが,これを2007年6月末までに15%に引き上げることが目標だ。

──日本では,NTTコムやKDDIも国際イーサネット・サービスに注力している。

 テルストラは,国際イーサネット・サービスの提供を競合他社に先駆けて始めており,経験も豊富だ。国際イーサネット・サービスの市場規模は拡大している。NTTコムやKDDIが注力するのは当然だろう。しかし,日本の多国籍企業の中には,NTTコムやKDDIとの付き合いがあるにもかかわらず,当社を選択する企業も多い。40近くの海底ケーブルを保有し,国際的な電気通信のバックボーンを持っている点で,競合他社とは差別化が図れると自負している。