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【大洋薬品工業】ポーター教授も認めた独創性,「置き薬」方式で取引先拡大(前編)
出典:日経情報ストラテジー 2006年4月号
68ページより
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)
このジェネリック薬メーカーとして国内最大の売り上げを誇るのが名古屋市に本社を置く大洋薬品工業だ。2005年度中間決算での経常利益率は29.4%。近年は大規模な設備投資により利益率がやや下がっているが、それでもほかのジェネリック薬メーカーの倍近くに上る。医療専門誌による収益ランキングでは新薬メーカーと肩を並べて10傑にランクインした。 この高い収益性が評価され、2005年には一橋大学大学院国際企業戦略研究科から「ポーター賞」に選ばれた。競争戦略の第一人者である米ハーバード大学のマイケル・ポーター教授の名を冠したこの賞は、優れた戦略を実践した企業に与えられる。「ポーター教授は授賞式で優れた経営の条件として『ユニークであること』を挙げた。独自のビジネスモデルを構築してきた当社は、業界慣習にならわない『異端児』として冷遇されることもあったが、それが正しく評価されたと感じている」。大洋薬品の新谷重樹社長はこう話す。 多品種少量生産を受託で補う新薬の場合、競争力のある薬を1つ開発すれば、長期にわたって多大な収益が得られる。しかし、特許が切れた新薬を代替するジェネリック薬は、製品そのものに競争力があるわけではない。新谷社長は、「ありきたりで、価格も安い商品で利益を上げるためには、生産や販売に独自の仕組みがなければならないと考えた」と話す。 大洋薬品が開発、販売するジェネリック薬は458品目と、国内メーカーでは最も多い。幅広い品ぞろえで、医療機関のニーズにワンストップで対応する。広範な品ぞろえを支えるのが岐阜県の高山工場だ。高い無塵(じん)性、無菌性を実現する注射剤製造ラインである「アイソレーターシステム」の導入数で世界第2位になるなど、最新鋭の生産設備をそろえる。工場への投資額はこの10年で650億円を超えるが、「最新設備によって、パート社員でも高品質の製品を低コストで安定生産できる」と村田和之取締役工場長は説明する。現在はリース料が年間40億〜50億円に上るが、今後はリース契約の満了などにより負担が漸減する。このコスト競争力によって、日本進出が予想される欧米の大手ジェネリック薬メーカーを迎え撃つ。 多品種少量生産のため生産設備の稼働率は低いが、近年は他社の生産を受託することで稼働率のアップを図っている。開発競争にしのぎを削る新薬メーカーでは、研究開発に投資を集中するため国内工場を縮小、閉鎖する例が相次いでいる。生産の外部委託需要が生じるなか、大洋薬品は注射剤など品質管理が難しい製品の生産ラインを武器に、武田薬品工業など大手メーカーとの取引に成功した。現在は51社から190品目の生産を受託し、生産量の17%を受託品が占める。 (後編に続く)
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