図7 ライセンスの種類とおもな用途<BR>商用版と無償版の2種類がある。SoftEther1.0では個人が会社から自宅のパソコンにアクセスする使い方が認められていた。しかし,PacketiX VPNではこうした業務用途には無償版の利用はできなくなった。また無償版は,使う際に同社のWebページ経由でのライセンス取得作業が必要で,60日ごとに更新する必要がある。
図7 ライセンスの種類とおもな用途<BR>商用版と無償版の2種類がある。SoftEther1.0では個人が会社から自宅のパソコンにアクセスする使い方が認められていた。しかし,PacketiX VPNではこうした業務用途には無償版の利用はできなくなった。また無償版は,使う際に同社のWebページ経由でのライセンス取得作業が必要で,60日ごとに更新する必要がある。
[画像のクリックで拡大表示]
[画像のクリックで拡大表示]

無償版は60日ごとの更新が必要

 PacketiX VPNは,新機能によって実際の企業ネットワークに近い環境をVPN上で実現しやすくなり,付属するGUIベースのツールによって使い勝手も大きく向上した。では,これですべてのユーザーが万々歳かというとそうでもない。若干使いづらくなった部分もあったりする。それが(5)のライセンス方式の変更だ。最後にこの部分について見ていく。

 ライセンス方式に関しては,押さえておきたいことが二つある。一つは,有償の商用版と無償版(Free Edition(フリーエディション))の2種類のライセンスがあること。そしてもう一つは,無償版には利用に際して制約事項がある点だ。

 商用版には,対象とする企業やネットワーク規模に応じて3種類のライセンスが設定されている(図7[拡大表示]下の表)。会社でPacketiX VPNを導入する場合は,利用目的に応じてこれら三つのライセンスから選んで購入すればよい。

 多くの読者が気になるのはFree Editionだろう。こちらは,誰でも自由にダウンロードして無償で使えるという基本はSoftEther1.0と同じ。ただし,利用に際してほぼ制約がなかったSoftEther1.0と異なり,PacketiX VPNのFree Editionでは制約事項が二つ加わった。一つは,仕事(業務)で使ってはいけないという使用目的の制限。もう一つは,60日おきにライセンス延長のための更新作業が義務付けられたことだ。

 後者に関しては,更新作業はWebページ経由であっという間に終わるため,60日に一度ならさほど苦にならないという人も多いだろう。

 一方,前者の使用条件の制限は,既存のSoftEtherユーザーの中には困る人が出てくるかもしれない。「業務」とみなされる範囲が比較的広めに定義されているからだ(図7)。

 このようにSoftEther1.0と比べて無償版を使う際に若干窮屈になったイメージがあるPacketiX VPNだが,実際には制約に引っかかるような使い方をしてきたユーザーは少ないはず。多くの機能追加や強化が施され,単純にイーサネットVPNソフトとしての実力もSoftEtherより優れる。そういう意味で企業ユーザーはもちろん,SoftEther1.0を使っていたユーザーを含め,個人ユーザーも導入する価値は十分あるといえそうだ。