アイコンの変化などで障害を通知

図6●トラップを受信してアラートを表示
図6●トラップを受信してアラートを表示
LANスイッチのケーブルが突然抜けるなど,突発的な障害が発生すると該当機器がマネージャにトラップを送信する。マネージャは上がってきたトラップを見て,ネットワーク構成図上のアイコンの色を変化させたり,管理者にアラート(警告)を知らせるメールを送ったりする。
[画像のクリックで拡大表示]

 最後は障害の管理について見ていこう。たとえば,SNMPエージェント機能を持つLANスイッチからケーブルが抜けてしまった場合,LANスイッチはマネージャに対してトラップを送って知らせる*。マネージャはトラップを受信すると,画面上のアイコンの色の変化で知らせたり,管理者に対してアラートを出したりする(図6[拡大表示])。これはほとんどの市販製品が搭載している機能である。

 ただし,製品によってアラートの出し方に差がある。マネージャの画面にメッセージをポップアップ表示する機能はすべての製品が備えているが,管理者のメール・アドレスにメールで通知する機能や外部コマンドを実行する機能を持つものもある。こうした機能は,製品によってはオプション扱いだったりする。WhatsUp Professionalなどは,アラートをSyslog*で飛ばしてログを記録できる機能も備えている。

 ネットワーク構成図の上で,アラートを発した機器の色を変化させたり,専用のアラート表示用ウインドウを開いて確認できるようにしている製品も多い。

関連したアラートを集約して表示

 障害が起こる場所や状況によっては,実際の原因は一つなのに,多数のアラートが一挙に表示されてしまうケースがある。たとえば,ネットワークの中心近くにあるLANスイッチが故障した場合だ。この場合SNMPマネージャは,故障したスイッチにぶら下がるすべての機器がダウンしたと判断してしまう。結果としてあまりに多くのアラートが表示されると,障害に対処しようと思っても,対管理者はどこから手を付けていいのか判断できずに困ってしまう。

 そこで,高価なSNMP管理ツールのなかには,こうした事態にうまく対処できる機能を備えたものがある。複数のアラートの関連性を調べて,自動的に集約してくれる機能だ。これにより,アラートの洪水で管理者が途方にくれる事態を防げる。NECのWebSAM NetvisorProやOpenView Network Node Managerはこうしたアラートの集約機能を備えている。

 見てきたように,SNMP対応のネットワーク管理ツールは,ネットワークを安定運用するためのさまざまな機能を持っている。ただ,実際に製品に触れる機会があれば,そうした機能差だけでなくカタログには表れにくい使い勝手の差などにも注目したい。たとえばポーリング処理では,「SNMPcの場合,同時に複数の機器にポーリングをかけることで高速化を図る工夫をしている。こうした工夫をするのとしないのでは処理速度が大きく異なる」(デジタルアーキテクトの笹岡隆・企画&マーケティング部長)という。

 ネットワーク管理ツールを使えば,何もしないより管理がぐっと楽になる。まだ使っていないユーザーは,ものは試しに,ベンダーが配布している体験版やフリーソフトのMRTGなどを触ってみてはいかがだろうか。