図1 WiMAXってどんな技術?
図1 WiMAXってどんな技術?
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図2 WiMAXには用途の異なる二つの仕様がある
図2 WiMAXには用途の異なる二つの仕様がある
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どこでも使えてデータ伝送速度も速い——。そんなワイヤレス・サービスを実現できるという触れ込みで注目を集めている技術がある。それがWiMAXだ。電波は数十km先まで届き,速度は75Mビット/秒。しかも,携帯電話よりも低料金でサービス提供できるという。そんなWiMAXについて調べてみた。

 「デスク! 無線LANの試験サービスを使ってみたんですけど…」とノートPCを抱えた記者が浮かない顔で私のところにやってきた。「使える場所がよくわからないのが困りものですよね」。

 「外で使うなら,無線LANよりこれからはWiMAX(ワイマックス)*だろう? この前行った展示会*じゃ盛り上がってたぞ」と私。「無線LANよりエリアが広くて,移動中でも75Mビット/秒で通信できるらしい。すでに年内のサービス開始を宣言しているところもあるよ」。

 「WiMAXって本当にそんなすごい技術なのかな?」と疑わしい視線を投げかける記者に対し,「確かにちょっと疑問だよな。だから,本当かどうか調べて記事にしたらいいんじゃないかな?」と話を持ちかけた(図1[拡大表示])。

 「そんなに言うならデスクがやったらどうです?」と記者。すると横から編集長が,「たまにはそれもいいね。じゃあ10月号の調査隊はデスクにやってもらおう」と乱入してきた。えっ? こりゃ大変なことになったなあ。

用途が異なる2種類のWiMAX規格

 しかたがない。それではまず,近場から情報収集だ。以前WiMAXの記事を書いた*T記者に教えを乞うと,「WiMAXには用途別に,固定局向けのIEEE(アイトリプルイー)802.16-2004とモバイル向けの802.16eの2種類の規格があるんですよ」と説明してくれた(図2[拡大表示])。

 IEEE802.16は,無線を使った都市部向けのネットワーク*技術を開発しているIEEE802委員会のワーキンググループ。二つの決まった地点間を無線で結ぶための規格IEEE802.16-2004(以下,FWA*版WiMAXと呼ぶ)は2004年6月に標準化済み。それに対して,モバイル向けの規格IEEE802.16e(以下モバイルWiMAX)はまもなく標準化される見込みだという*

 そういえば,展示会で配っていたカタログにもそんなことが書いてあったなあ。雑然とした机の上から会場で集めたカタログを探し出す。

 「あった」。インテルをはじめ,PHS事業者のYOZAN(ようざん),KDDI,イー・モバイルといった企業が,WiMAX関連の出展をしていたようだ。よし,これらの会社をまわってみよう。