入手の基本はWebサイトからの購入
では実際に,標準化団体ごとの規格書やドラフト文書の入手方法を調べていこう。まずは問い合わせのあった無線LANの規格からだ。規格名がIEEE802.11eだから,IEEEから入手すればいいということはわかる。でも,いわゆる工業規格書だから一般の書店では扱ってないし,取り寄せるのも無理だろう。うーん,まずはこの手の規格に詳しそうなLANベンダーに相談してみよう。ネットワークの標準規格に詳しい人が必ずいるはずだ。
そこで昔からIEEE802規格の標準化作業に参加しているLANベンダーのアンリツを訪ねた。
担当者に会ってさっそく規格書の入手方法を尋ねてみると,「特別な入手方法といったものはありません。誰でもIEEEから簡単に入手できますよ。うちでも基本的に必要な規格書はそうやって入手しています」(アンリツエンジニアリング プロトコルシステム開発部の加藤豊行課長)という答えが返ってきた。なんだ,標準化団体の会員になって高額な会費を払わないと入手できないのかと思っていたけど,そうではないんだ。
IEEEの規格書は,IEEEのWebページ*にアクセスして申し込めば誰でも購入できる。必要事項を英語で入力することと,決済にクレジット・カードが必要なことを除けば申し込み手順でとくに難しい点はない*。購入したい規格名を検索し,購入手続きを済ませればすぐにPDFファイル形式の規格書をダウンロードできる。
標準化後6カ月経ったら無償配布
規格書を買う方法はわかったぞ。購入しても構わないかデスクに相談してみよう。そんなことを考えていると,加藤さんの口から意外な事実がこぼれてきた。「実は,IEEE802の規格書は数年前から無償でダウンロードできるようにもなっているんですよ」。
えっ,売り物なのにタダで入手できるんですか。「ただし条件があって,無償で配布しているのは標準化が完了してから6カ月経った規格書だけなんです」。
さっそく編集部に戻ってIEEE802委員会のWebページにアクセスしてみる。すると確かにイーサネットや無線LANなどの規格書が無償でダウンロードできた(図2[拡大表示])。なるほど,編集部にあるLANの規格書は,誰かがこうやってダウンロードしたものだったのか。
ただし,加藤さんの話にもあるように,標準化完了直後(6カ月未満)の規格書や標準化完了前のドラフト文書は無償では入手できない。そうした最新の情報が欲しい場合には,Webページから購入するしかない*。
待てよ。ということは,問い合わせのあったIEEE802.11eについてはドラフト文書を買うしかないってことか。調べてみたら60ドルで購入できる*ようだ。ちょっと高いけど,記事にも使えるからきっと認めてもらえるぞ。
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