前回、XPから各OSに移行する際の注意点として「周辺機器やソフトの対応」「アプリの動作検証」「利用者に対する研修」について触れた。今回は、アプリの動作検証に関してより詳細な事例を紹介する。

 アプリの動作検証について、特にWebアプリの種類に応じて対応を変えているのが日本パレットレンタルである。同社は2013年10月、約300台のWindows XP搭載PCを、Windows 7の仮想デスクトップ環境に移行。Windows 8ではなく7を選んだのは「仮想デスクトップソフトのVMware Viewの対応が7までだった」(情報システム部の黒岩暁氏)からだ。

社内とネット経由で対応を変更

 IEのバージョンについてはIE10に統一。「IEのバージョンは購入したPCによって異なる。ダウングレードができず、複数のバージョンが混在するとコントロールが効かなくなる。そこで、当時最新だったIE 10に統一した」(黒岩氏)という。

 基幹業務や顧客データベースなど、社内のイントラネット内で利用していた約120のWebアプリは、過去のIEのバージョンと互換性がある描画モードで表示する「互換表示モード」を使用(図4)。「IE 7のレンダリング方法を使う設定にすることで、ほぼ問題無く動作している」(黒岩氏)。

図4●社内Webアプリを互換モードで動かす日本パレットレンタル
Windows 7移行時にWebブラウザーをIE 10に統一。約120ある社内のWebアプリはIE 7の互換モードで動作。インターネット経由のWebアプリは一部IE 6で動作するものも残る
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 一方、パレットのレンタル注文や顧客向けのWebサービスなど、インターネット経由のWebアプリについては、「最新のサービスはIE 7以上での動作に対応済みだが、古いものは一部IE 6向けのまま。順次IE 7以上の対応に手直ししている」(黒岩氏)。

 前述の通り、Windows 7を選んだ場合はIE 8がプリインストールされているケースが多い。ただ、IE 8に向けたWebアプリの改修は、将来のことを考えると得策ではない。

 「IE 9以降はHTML 5やCSSなどのWeb標準技術に準拠しており、他のWebブラウザーとの互換性が高く、将来的な変更も少なくて済む。IE 6からIE 8向けにアプリを改修した場合、他のブラウザーと互換性が低くWeb標準にもそれほど準拠しないものを作ることになる。今後IE 9以降に対応する場合、再度それなりの工数をかけて改修する必要が出る」(日本マイクロソフトの西野氏)。

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