ここからは、具体的な事例に基づいて、XPから各OSに移行する際の大変さについて見ていこう。特に注意すべき点は、周辺機器やソフトの対応、アプリの動作検証、利用者に対する研修の三つだ。8や8.1は周辺機器や市販ソフトで一部未対応のケースもあるが、アプリの互換性や研修の手間は、7に比べて大きな違いは無い。
三つの注意点への対応で参考になるのが、国内外の中古車や新車の販売、修理、カスタマイズなどを手がける東京オートの例だ。同社は2013年4月、社内にあった約160台のWindows XP搭載PCを、Windows 8搭載PCに切り替えた(図3)。営業職や事務職などの職種に応じて、タブレットとしても使える着脱型のノートPCやUltrabookを使い分けている。
Windows 8を選んだ理由を中村浩志社長はこう説明する。「Windows 7でも良かったが、タブレットPCを入れることを考慮して、タッチ操作に最適化されていることと、サポート期間が長いことからWindows 8に決めた。デスクトップPCも含めて8に統一したのは、サポートや管理に余計なコストをかけないため」。
8の導入に当たってまず問題となったのは、利用している複合機のドライバーが無かったことだった。「Windows 7のドライバーを入れても動かなかったので、必要最小限の機能を持つベーシックドライバーを入れて対応した」(システム室の河副氏)。
最も不安視していたのは、Windows XP上で動作していた.NET Frameworkアプリケーションと、Internet Explorer(IE)6対応のWebアプリケーションの互換性だ。IEはOSによってプリインストールされているバージョンが異なる。Windows 7なら基本的にIE 8、8はIE 10、8.1はIE11だ。どれもIE 6はインストールできないため、OSの移行でWebアプリの改修が必要になる場合がある。