共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営するロイヤリティマーケティングが、ビッグデータの分析を小売りチェーンなどから受託する事業を強化している。5500万人に達する会員情報と、月間1億5000万件の取引履歴を分析し、加盟企業に提供。マーケティング強化などに活用する。

 分析を担うのが、2012年4月に発足した専門家集団「LMAnalytical Lab(LAL)」だ。LALを率いる内山敦司執行役員は、「20人のデータサイエンティストが様々な視点から購買履歴など分析することで、加盟企業の担当者が気づけなかった改善策を提案できる」と話す(写真1)。

写真1●ロイヤリティマーケティングの分析チームと、スポーツ用品店「ヒマラヤ」の店舗
ロイヤリティマーケティングはビッグデータ分析の専門家集団「LM Analytical Lab」を2012年4月に創設。Lab長の内山敦司執行役員(左)と松本清一マネージャー
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 スポーツ用品店を展開するヒマラヤは昨年、LALに対してマーケティング施策の改善を委託した。Pontaを使って販促効率を高め、紙のチラシを中心とする販促策から脱却するのが目的だった。

部活動の開始時期を狙え

 LALのデータサイエンティストがPontaの会員データと、ヒマラヤのPOS(販売時点情報管理)データを組み合わせて分析したところ、ある結論が導けた。「部活動を始めた直後に商品を購入した学生は、ヘビーユーザーになりやすい」(内山執行役員)。

 テニスラケットなど部活動に欠かせない道具は、値下げをしてでも販売する価値がある。ヒマラヤはこうした分析結果に基づき、顧客育成策を強化する方針という。

 ロイヤリティマーケティングは今後、加盟企業間の相互送客の拡大に、ビッグデータを駆使する考えだ。