SNSを導入して効果を上げている企業は、効果を高めるために様々な工夫を凝らしている。各社の事例から、ポイントは五つにまとめられる(図9)。

図9●社内SNSで導入効果を高めるための5カ条
図9●社内SNSで導入効果を高めるための5カ条

(1)利用の縛りを設けない

 ポイントの一つめは、SNSの利用に縛りを設けないことだ。

 SNSが目指すのは、顔を合わせた対話と同じ環境の実現である。仕事のための会議や打ち合わせの際も、互いに交わす何気ないやり取りが、意外と重要な気づきにつながったりする。「書き込みは業務に関する内容に限る」などと縛りを付けてしまうと、新たな気づきやアイデアを生み出す土壌が生まれにくくなる。

 取引先や顧客など外部を交えた形でSNSを運用する場合、規約がないと不都合が生じるなら、消費者向けSNSの利用ガイドラインを適用することも検討したい。

(2)適切なツールを準備する

 ポイントの二つめは、SNSを利用しやすくするための適切なツールを準備することだ。スマホやタブレットはその代表例である。会社に来てPCに向かわないとアクセスできないようでは、SNSは活性化しない。必要なタイミングですぐSNSにアクセスできる環境の整備が欠かせない。

 SNSや、SNSにアクセスするスマホなどを効果的に使うための準備も必要だ。ガリバーのマーケティングチームは組織を解体し、部内をフラット化した。日比谷花壇はBYODを解禁した。

(3)利用促進の仕掛けを用意

 ポイントの三つめは、SNSの利用を対象者全員に広げるための仕掛けを用意することだ。

 SNSに慣れているかどうかは個人差が大きい。社内SNSの導入によって、初めてSNSを利用する社員もいる。「SNSはどうも苦手」と感じている社員もいるだろう。しかし、対象者全員が参加しないとSNS導入の効果は薄れる。全員に利用を促進する仕掛けが必要なのはそのためだ。

 コクヨファニチャーはSNSを導入した当初、全員が1日の行動予定をSNSに書き込むようにした。SNSの利用を習慣づけるのが狙いだ。グループウエアでもスケジュールを共有できるが、「体調が悪い」「子供が風邪をひいている」といったグループウエアには表れない部員の情報を共有することで、SNSの特徴を徐々につかんでいった。

 ほかに、ガリバーが実施した「部内の電子メールを廃止する」というのも、荒業だが利用を促進するために有効な方法だ。

(4)業務と一体で利用する

 ポイントの四つめは、業務と一体でSNSを利用することだ。陣屋はSNSを勤怠管理機能と一体化することで、毎日のログインとSNSへのアクセスを習慣付けた。玉屋は業務に欠かせないノウハウをSNSで共有して利用を促した。

(5)慣れる期間を作る

 最後のポイントは、SNSに慣れる期間を作ることだ。今回登場した企業は、少なくとも1年以上をかけて、社員がSNSの活用に慣れていくようにした。玉屋の場合は「SNSを使うのが得意な人が職場にいて、まずその人が周りに広めていった。そのうちに全員が使えるようになった」とMISCH MASCHヘップファイブ店の四ツ井店長は話す。

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