Red Hat Enterprise Virtualization Managerの画面
Red Hat Enterprise Virtualization Managerの画面
[画像のクリックで拡大表示]
Red Hat Enterprise Virtualizationのシステム構造(出典:米Red Hat)
Red Hat Enterprise Virtualizationのシステム構造(出典:米Red Hat)
[画像のクリックで拡大表示]

 レッドハットの「Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV)3.1」は、Linuxカーネルに標準で搭載されている仮想化機構「KVM(Kernel-based Virtual Machine)」を基にしたハイパーバイザ型の仮想化ソフトである。オープンソースの仮想化プロジェクト「oVirt」の成果物を製品化したもの。VDI(仮想デスクトップ基盤)も含めクラウド環境の構築・運用に必要な各種機能を備える。

 最新版の「3.1」では、仮想マシンの最大構成の拡張、管理画面の日本語化、ストレージライブマイグレーションなどの機能強化を実施した。また、オープンソースのスケールアウト型ストレージ管理ソフト「Red Hat Storage」との統合機能により、Red Hat Storage配下の共有ストレージプールへのアクセスが可能になった。Red Hat Storageは、2011年10月に買収した米Glusterの分散ファイルシステム「GlusterFS」を基に開発された製品で、非構造化データをファイルおよびオブジェクトとして管理できる(国内では2012年7月から提供)。

VDIなども含めクラウド環境を一つのGUI画面で統合管理できる

 製品パッケージとしては、ハイパーバイザ「Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor(RHEV-H)」と管理ソフト「Red Hat Enterprise Virtualization Manager」からなる「Red Hat Enterprise Virtualization for Servers」、そしてアドオンのデスクトップ仮想化ソフト「Red Hat Enterprise Virtualization for Desktops」で構成される。

 このうちハイパーバイザは、KVMを基にしており、Red Hat Enterprise Linux 6.1以降で動作する。ゲストOSとしてRed Hat Enterprise Linux 3~6とWindows Server 2003/2008/2008 R2を利用可能。仮想マシン1台当たりの最大構成は、仮想CPU 160コア、仮想メモリー2Tバイト、仮想ストレージデバイス8台、仮想ネットワークアダプタ8個、仮想PCIデバイス32個である。

 管理ソフトは、アプリケーションサーバー「JBoss Enterprise Application Platform」上で動作するJavaアプリケーションであり、セルフサービスプロビジョニングのためのPower User Portal、RESTful API 、ローカルストレージなどの機能を備えている。これにより、クラウドコンピューティング環境を構成する複数の物理ホストと多数の仮想マシンを一つのGUI画面で統合管理できる。

 ある物理ホスト上で稼働している仮想マシンを無停止で別の物理ホストに移動する「ライブマイグレーション機能」や、物理ホストの障害を検知して稼働中のすべての仮想マシンを自動的に別のホストに移動・再起動する「高可用性機能」、あらかじめ設定しておいたCPU使用率を超えたら自動的に仮想マシンを別のホストに移動して負荷を分散する「システムスケジューラ」などを備えている。管理コンソールは、.NET 4 FrameworkがインストールされたInternet Explorer 7以降で動作する。

 デスクトップ仮想化ソフトは、アドオンとして同時接続25デスクトップ単位で提供される。Windows XP/7やRed Hat Enterprise Linuxの仮想デスクトップ環境を、Webブラウザまたはシンクライアント端末から利用できる。画面転送プロトコル「SPICE」によって、高解像度表示や複数モニターの使用、双方向マルチメディアへの対応、USBデバイスの利用など、物理デスクトップに近い使い勝手を実現したとしている。管理ソフトのGUI画面では、仮想サーバーと仮想デスクトップを集中管理でき、仮想デスクトップに関してもライブマイグレーションなどを実行可能。

Red Hat Enterprise Virtualization 3.1の仕様
仮想マシンの最大構成仮想マシン1台当たり、仮想CPU 160コア、仮想メモリー2Tバイト、仮想ストレージデバイス8台、仮想ネットワークアダプタ8個、仮想PCIデバイス32個
ゲストOS■仮想サーバー:Red Hat Enterprise Linux 3/4/5/6、Windows Server 2003/2008/2008 R2
■仮想デスクトップ:Red Hat Enterprise Linux Desktop 5/6、Windows XP(32ビット版のみ)、Windows 7
動作環境Red Hat Enterprise Linux 6.1以降を搭載したIntel 64/AMD 64システム(Intel VT/AMD-VTMをサポートするもの)
価格(税別)■スタンダード:4万8800円
■プレミアム:7万3200円
発表2013年1月10日
出荷開始2013年1月10日