1990年代以降、基幹系システムを支えてきたUNIXサーバーが岐路に立っている。より安価なPCサーバーと比較して信頼性では一日の長があるものの、処理性能での優位性は無くなった。ユーザーは今後もUNIXサーバーを使い続けるべきか、慎重に検討を進める必要がある。
本記事で言うUNIXサーバーとは、IBMの「AIX」、HPの「HP-UX」、オラクルの「Solaris」という商用UNIXを採用するサーバーのことだ。プロセッサは、AIXがIBMの「POWER」を、HP-UXが米インテルの「Itanium」を、Solarisがオラクルの「SPARC T」と富士通の「SPARC64」を使用する。「Linux」と「Xeon」プロセッサを搭載したPCサーバーは含まない。日立製作所、NEC、富士通は、IBM、HP、オラクルと提携して、UNIXサーバーを販売する(図1、表)。

既存サーバーの更新が中心
現在、新規システムにUNIXサーバーを採用しようというユーザー企業はほとんどおらず、「UNIXサーバー需要のほとんどが、既存システムで利用中のサーバーの更新」(ガートナー ジャパン最上級アナリストの亦賀忠明氏)という。
新規システム構築にUNIXサーバーが採用されなくなったのは、より安価なPCサーバーとの差が縮まったためだ。性能面では、UNIXサーバーとPCサーバーに差は無い。オラクルは、PCサーバーを使う「Oracle Exadata Database Machine」を、最も高性能な「Oracle Database(DB)」のソリューションと位置付ける。
信頼性の面では、UNIXサーバーに一日の長がある。キャビネット型のUNIXサーバーでは、プロセッサやメモリーを搭載するシステムボードを冗長化し、システムを止めずに交換(ホットプラグ)できる。
もっとも、ラックマウント型やブレード型のUNIXサーバーでは、システムボードの冗長構成は取れない。ホットプラグができるのは電源やディスクなどに限られる。PCサーバーと違いはない。
HPは現在、UNIXサーバーと同等の信頼性をPCサーバーで実現する「Odyssey」というプロジェクトを進めている。2013年までにハイエンドサーバー「Integrity Superdome 2」にXeonを搭載し、サーバーの物理分割機能「nPars」やフェイルオーバー機能「HP Serviceguard」、ファームウエアでエラーをチェックする「HP Analysis Engine」など、これまでHP-UXとItaniumの環境でのみ利用できた高可用性機能を、Windows/LinuxとXeonの環境でも利用できるようにする。