最終回となる第5回では、クラウドサービスが今後どう変化するのか、またその変化が中小企業をどう変えるのかを一緒に考えてみたい。

近い将来、スマホ技術の適用で150倍に集積化

 クラウドサービスを物理的に支えているのは、「データセンター」という大型コンピュータセンターである。場所はセキュリティ確保のため公開されていないことが多いが、ビルの一部、あるいはビルをまるごと使って、そこに大量のサーバーを格納している。

 サーバーを監視するのはコントロールセンターの役割だ。ここで専門の技術者たちがサーバーの挙動を24時間365日、監視し続けている(図1)。

図1 データセンターのコントロールセンターの例。写真は富士通が運営する館林データセンターの統合管制室(写真提供:富士通)。
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 サーバーは「ラック」というケースに複数台入れられる(図2)。今は1ラック当たり20台前後のサーバーが格納されるのが一般的だ。

図2 データセンター内のサーバールームの様子。左右に並ぶ黒い箱の一つひとつがラックだ(写真提供:富士通)。
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 これが数年後には大きく変わりそうだ。IT分野の調査会社、ガートナー ジャパンの亦賀忠明氏(リサーチ部門ITインフラストラクチャ&セキュリティ バイスプレジデント 兼 最上級アナリスト)は、次のように語る。「技術的にはすでに、1ラック当たり3000台規模のサーバーが搭載できる見通しが立っている」。

 それを可能にするのは、スマートフォン向けに開発されたコンピューター小型化技術。サーバーを開発しているメーカーの間では今、スマートフォンの小型化技術をサーバーに適用する取り組みが急ピッチで進んでいるという。

 1ラック当たり3000台というのは、そのような超小型サーバーが商用化した時の話。だが、今は技術の進化が早い。商用化の時期は決して遅い未来ではないだろう。

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