第1部で紹介したディスクイメージのコピーと、第2部で紹介したミラーリングの手法を使い分けたり併用したりすれば、既存のパソコン環境を漏らさずバックアップできる。しかし、それでもまだ不十分だ。
留意すべきはバックアップデータの“保存先”。USBメモリーや外付けHDDにバックアップデータを保存して、それらをパソコンの脇に置いていないだろうか。
通常はこの運用で問題ないが、災害時に困ることになる。例えば大規模な火災や水害に直面すれば、バックアップデータを保存したストレージとパソコンの両方を同時に消失してしまう。空き巣に入られた場合なども同様の危険がある。
そこで重宝するのが、「オンラインストレージ」だ。オンラインストレージとは、サービス提供会社が用意したサーバー、いわゆるクラウド上のファイル保存領域のこと。ユーザーは、インターネット経由でオンラインストレージにアクセスし、データを保存したり取り出したりできる(図1)。サーバー内の保存領域は、ユーザーごとに論理的に区切られていて、他人はアクセスできない仕組みだ。一般に、サービス提供会社のサーバーは自宅から遠く離れているので、盗難はもちろん火災や水害に直面してもデータを守れる可能性が格段に高くなる。
オンラインストレージのサービス自体は数年前からあるが、登場当初は保存可能な容量が小さく、用途が限られていた。最近になり、数GBのデータを無料で保存できるサービスが増えた(図2)。米マイクロソフトの「SkyDrive」は、最大25GBのデータを無料で保存可能だ。これなら写真や動画の保存先としても十分活用できる。さらに多くの容量を必要とする場合は、有料で容量を増やせるサービスを選んでおくとよい。
なお、企業内でパソコンを利用している場合、社内から外部サービスへのアクセスが一切禁止されている場合もあるだろう。オンラインストレージを利用する際は、勤務先のルールを確認してほしい。