データの重複部分を取り除いて保存する重複排除バックアップストレージの新製品が相次いでいる。重複排除によって削減したバックアップデータを遠隔地へ複製して、災害対策に利用するニーズが高まったことが背景にある。メーカー各社は「重複排除方式」「重複排除単位」「重複判定」で工夫を凝らしている。
日立製作所は2012年5月、「Hitachi Capacity Optimization(HCO)」の出荷を開始し、重複排除バックアップストレージ市場へ本格参入した(図1)。同社 PFビジネス本部 ストレージビジネス推進部の小笠原裕主任技師は「ファイル形式に応じて重複排除単位を自動選択することで、重複排除率を高めた」と特徴を語る。
富士通も、従来製品に比べて処理性能を2.6倍に高めた「ETERNUS CS800 S3」を5月から出荷している。エントリーモデルを増やすとともにハイエンドモデルを追加して品ぞろえを拡充した。
重複排除バックアップストレージは、バックアップサーバーと組み合わせて利用する。「バックアップデータ量を削減する」「複数台をネットワークで接続してバックアップデータを遠隔地へ効率的に複製する」機能を備える。代表的な製品にEMCジャパンの「EMC Data Domain」があり、「データ量を10分の1~30分の1に削減できる」(BRS事業本部 事業推進部の村山雅彦部長)。
相次ぐ新製品発売の背景には、東日本大震災に伴う災害対策ニーズの高まりがある。NEC 第一ITソフトウェア事業部の宇高淳也マネージャーは「当社における2011年の出荷台数は前年比で5倍になった」と語る。
こうした機能を備える重複排除バックアップストレージについて、「重複排除方式」「重複排除単位」「重複判定」の3点を中心に動向を説明する。対象としたのは、データを格納する側で重複排除を行うターゲット型と呼ばれる製品である(表)。